『鬼王』VS『雷界』 その3
〈三人称視点〉
彼は、小鬼として生まれた。
しかし、彼には、魔物なら誰でも持っているはずの生物の命を奪いたいという欲求がなかった。
彼は、いつも生まれた場所の近くにあった湖を眺めていた。
そんな時、彼は鬼人の少女と出会った。
鬼人の少女は、彼に興味を持ち話しかけた。
彼は、言葉は話せなかったが、理解はできた。
彼は、身振り手振りで意思疎通をした。
いつしか彼にとって、鬼人の少女と話す時間が楽しみになっていった。
そして、彼は自覚した。
自分は、鬼人の少女が好きなのだと。
しかし、今の姿では、受け入れてもらえないと思った。
そして、進化に可能性を見出した。
彼は、それからレベルを上げ、進化をし続けた。
そして、その進化の先で、彼は鬼人とそっくりな姿になることができた。
彼は、鬼人の少女に告白した。
鬼人の少女は、彼を受け入れた。
彼は、鬼人の少女の住む鬼の里に行った。
鬼の里では、彼を知っている者が多くいた。
どうやら、鬼人の少女が彼のことを話していたらしい。
そして、鬼人の少女は、里長の娘だった。
彼は次期里長となり、鬼の里を守るために戦った。
そして、いつしか彼は『災害指定』にまでなっていた。
彼の名は、ゴウテ。
『鬼王』の二つ名を持つ『災害指定』。
魔物である自分を受け入れてくれた鬼の里を守ると誓った男。
……………………
……………
……
「確かに……俺は魔物だよ。……でも……だからこそ……負けられないんだ!!!……それに、一つ言っておく。俺は、ただ攻撃を受け続けたわけじゃない」
「何?」
「『武器生成』」
ゴウテがそう言った次の瞬間、トニトゥルの体から大量の槍が生えた。
種族紹介
『羅刹』
小鬼や大鬼などの鬼系統の魔物の亜神を除く最終進化先。進化時に望んだ姿になる。