『獣王』VS『震界』 その4
〈三人称視点〉
ガツクは、モートゥの拳を複数の手で受け止めながら、残った手で拳を作り殴り飛ばした。
モートゥは、何とか避けようとするが、全てを捌き切ることはできずにガツクの拳をくらった。
「グッ……、へぇ、さっきまでより圧倒的に強くなってるな!!!」
モートゥは、そう言いながら、再度殴りかかる。
ガツクは、さっきと同じようにそれを手で受け止めた。
次の瞬間、ガツクは地面に膝をついていた。
「な……何だ……これ?」
「脳を揺らしたのさ」
「何だと?」
「俺の拳からお前の体内に魔力を流して直接脳を揺らした。それだけだ」
「クッ……ソが!!!」
ガツクは、何とか立とうとするが、よろけてまともに立つことすら出来ない。
「フハハ!良いね!さっきまで自信満々だったのに、今は無様に地面に這いつくばっている!」
「油断……したな」
次の瞬間、ガツクの拳がモートゥの顔面にめり込んだ。
ガツクの拳をモロにくらったモートゥは、大きく吹き飛んだ。
「何故だ!何故……立つことが出来る!?」
「お前がただ殴るだけではなく別の何かを狙っていることは分かった。でなければ、一度効かなかった攻撃をする意味がない。だからこそ、お前の魔力が俺の肉体に入った瞬間、それを遮断しただけだ」
「そうか……そうか……しかし、世界自体が揺れていたら、流石に立っていられないだろう!?!?!?『震界』!!!」
その言葉と同時に、世界が歪んだ。