『魔王』VS『嵐界』 その2
〈三人称視点〉
「お主らは侵攻してきた魔物から国を守れ」
エンカはそう言うと、テンペスターに向かって走った。
エンカのその言葉を聞いた『四天王』は、その場を離れ、魔物に攻撃を開始した。
エンカは高速でテンペスターに近づくと、刀を下から上に斬り上げた。
テンペスターはそれを難なく避けると、風の斬撃をエンカに飛ばす。
エンカは、いくつか掠ったものの、大したダメージを負わずに再度テンペスターに斬りかかる。
「アハハッ!遅すぎるよ。そして弱すぎる。君、本当に『災害指定』?」
テンペスターは、手をかざし、エンカの周囲に3つの竜巻を発生させた。
その竜巻は、一気に収束し、エンカを包んだ。
「この竜巻は少し特殊でね、竜巻の中に入ったものを切り刻むんだ。だから、これで君も終わり。まあ、聞こえてないと思うけどさ。恨むんなら、弱者の分際で僕の前に立った自分を恨むんだね」
テンペスターがそう言い、そしてその場を離れようとしたその時、竜巻の中で膨大な魔力が爆発し、竜巻を消し飛ばした。
その爆発の中心には、傷だらけになりながらも立つエンカが居た。
「『弱者の分際で僕の前に立った自分を恨め』だと!?何も分かっておらぬな!王は!国を!民を守る義務がある!たとえ弱くとも、それは戦わぬ理由にはならぬ!何かを守るその行動に意味があるのだ!相手が圧倒的に強者でも、余は、醜くとも足掻く!大切なものを守りたいと思う心ができぬなら、貴様は真の強者足り得ない!ここで、余が、貴様に『災害指定』最弱に負けたという屈辱を味わわせてやる!」