『賢王』VS『海界』 その3
〈三人称〉
会話が終わるのと同時に、ローンの姿が消えた。
そして、次の瞬間、すでにローンの剣がオースの喉元に迫っていた。
オースはそれをギリギリで避け、海の水で攻撃する。
海の水が巨大なトゲになりながらローンに高速で迫る。
ローンはそれを全て斬り裂き、オースに迫る。
「水を斬るとか……化け物ね!」
オースは冷や汗をかきながら、なんとかローンの斬撃を凌ぐ。
「お主こそ、儂の攻撃を捌き切るとは化け物じゃのう」
「年季が違うのよ!」
「ホッホッホ、見た目では儂の方がよっぽど年寄りに見えるがのう」
「そうかもね!!!」
次の瞬間、大量の水がローンの上から落ちてきた。
ローンであってもまともに喰らえばおそらく水圧に耐えきれず死ぬ。
さらにその水は、この世界全てを覆っていた。
そのため避けることもできない。
ローンはそれをすぐさま理解し、水を斬りつける。
しかし、その隙を見逃さず、オースはローンの足元から大量の水のトゲをはやす。
なんとか致命傷は避けられたものの、ローンは、片足を水のトゲで貫かれた。
さらにローンは、上から落ちてくる水に押しつぶされた。
「フゥ、久々に命の危機を感じたわ。褒めてあげるわよ。もうどうせ死んでるでしょうけど」
次の瞬間、海がまた割れた。
「ホッホッホ、強者から褒められるのは少し嬉しいのう」
「なんで……生きてる!」
「流石に死ぬかと思ったわい。……まさか、この短時間にスキルを2回も使わされるとは思わなかったわい」
「スキル?」
「そう……儂のスキルじゃ」
「スキル……そう、海を斬ったもの以外は全てスキルではなかったということなのね……舐めてんじゃないわよ!」
大量の水のトゲがローンに迫る。
先ほどよりももっと速い速度で。
「そうじゃのう……だから……このスキルで、お主を殺そう」
ローンがそう言った瞬間、ローンからありえないほどの重圧が放たれた。
「こんなの……人間が放っていい重圧じゃないわよ!」
「『至剣』……『断』!!!」
ローンはそう言うと、剣を縦に振り下ろした。
振り終わった瞬間、オースは縦に裂けた。
こうして、『賢王』ローンと『海界』オースの戦いは、『賢王』の勝利で幕を下ろした。
ユニークスキル紹介
『至剣』
万物を斬り裂くスキル。斬れない物は存在しない。