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温泉街ヒノモトの戦い その2

〈三人称視点〉


 彼は、恋愛対象が男だった。


 それを理由に、周りは彼を奇異の目で見た。


 そんな彼には、たった1人だけ理解者がいた。


 彼の親友だけは彼を奇異の目で見なかった。


 そんな親友が彼の心の支えだった。


 彼は親友とともに冒険者になった。


 彼と彼の親友には戦いの才能があり、異例の早さでランクを上げていった。


 そしてついに、Sランクにまで上がった。


 そんな時だった。


 彼の親友が魔物に殺されたのは。


 Sランク8体を含む魔物の群れが彼らの住んでいた街を襲った。


 なんとかその魔物の群れを撃退することは出来たものの、彼の親友は、重傷を負い、亡くなった。


 そんな彼の親友は、死ぬ間際に彼に言った。


「これからは、もっと自分らしく生きなよ。いつになるかは分からない……けれどきっと、いつか君を理解してくれる人が現れるから」


 ……と。


 彼はそれから変わった。


 女性ものの服を着るようになり、言葉使いも女性のようになった。


 最初は理解されなかった。


 しかし、段々、彼を理解する者が現れるようになった。


 理解者はどんどん増え、彼の親友の死から20年も経つと、町の人の殆どが彼の理解者となった。


 それから彼は、冒険者を止め、温泉宿を始めた。


 彼の名前は、ゴンザエモン(リーシャ)


 自分の居場所を、そして自分を理解してくれた者たちを守り抜くと誓った()




……………………


……………


……



 

「アタシがちょっと街を離れている間に随分とヤンチャしてくれたようね」


 口では笑いながら、獲物を見定めるような目をしながらリーシャはそう言った。


 冒険者たちは安堵した。


 やっと希望が来てくれたと。


 これで絶対に勝てると。


「カカカ。面白イ人間ガ居タモノダ」


 突如、Sランクの魔物の1体が喋り出した。


 言葉を介す魔物は、Sランクの魔物の中でも最上位に位置する力を持っている。


 そんな存在が、ここには居たのだ。


「面白い?そう……」


「カカカ、ダガ、調子ニ乗ルナヨ?今貴様ガ殺シタノハ、我ト比べレバ弱者デアル」


「興味ないわね。『愛の拳(ラブ・パンチ)』」


 リーシャがその魔物の腹を殴りつけると、魔物は腹に大穴を開け、死んだ。


「吠えないでちょうだい。ムカつくわー」


 次の瞬間、リーシャから人の身ではありえないほどの強力な威圧感が放たれた。


 魔物たちは恐怖した。


 そして、それから始まったのは、一方的な戦いだった。


「『愛の抱擁(ラブ・ハグ)』」


 リーシャがそう言って抱きついたSランクの魔物は肉が潰れ、骨が砕ける音を響かせながら死んだ。


 ほかの魔物たちも何も成せぬままリーシャに殺された。


 たった1人の手によって、魔物の群れは全滅した。

ユニークスキル紹介

愛の力(ラブ・パワー)

 所有者本人が愛の力だと思ってさえいればどんなことでも可能になるスキル。

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