温泉街ヒノモトの戦い その1
〈三人称視点〉
温泉街ヒノモト……。
そこに住む人々はかつてないほどに混乱していた。
理由は、街で1番強く、そして信頼の厚いゴンザエモンが不在だから。
リーシャは数日前にダンジョンへ食材の調達に行った。
そこはSランクダンジョンであり、いくらリーシャであっても帰ってくるまで数日かかる。
そんな中での魔物の襲来。
そんな中で、1人だけ希望があった。
その名もラッシュルラーク。
現役のSランク冒険者である彼は、リーシャほどではないにしても信頼は厚い。
そんな彼のおかげでなんとか混乱はおさまった。
そして、ついに魔物が現れた。
初日はBランクの魔物がほとんどであり、ラッシュルラークがいたため、数人が少し怪我をしただけで誰も死ぬことはなかった。
2日目はSランクの魔物が襲来し、ラッシュルラークがなんとか倒せたものの数十人の重傷者が出た。
そして、3日目……Sランクの魔物が10体現れた。
ラッシュルラークは前日の戦いで疲弊しており、倒せるとしても相打ち覚悟で挑んで1体のみ……。
「これは……流石に無理か……」
ラッシュルラークも弱音を吐く。
しかし、そんな絶望はすぐに終わった。
「『愛の拳』!!!」
その言葉と同時に1体のSランクの魔物の上半身が消し飛んだ。