ビギの町の戦い その2
〈三人称視点〉
古代大鬼3体……。
まさに、絶望とも言うべき状況……。
今まで戦っていた冒険者たちも、死を覚悟した。
しかし、2人だけ、まだ諦めていない者がいた。
アルカフォードルとヘーロだ。
「ヘーロ、俺が2体やる。1体頼めるか?」
「なんとか……やってみます」
「よく言った!」
アルカフォードルは勢いよく駆け出し、炎を纏った拳で古代大鬼を殴り注意を引きつけた。
アルカフォードルが戦いを始めるのを確認したヘーロは、覚悟を決めて古代大鬼の正面に立つ。
それと同時に古代大鬼がヘーロに殴りかかる。
ヘーロはなんとか避けることが出来たものの、古代大鬼の拳が地面に当たった衝撃で少しよろけた。
その機を見逃さず、古代大鬼はもう片方の拳でヘーロを殴りつける。
大剣でガードすることが出来、直撃だけは免れたものの、ヘーロの骨は何本か折れた。
「グッ、グゥ……ゥ」
「グオオオオオオオオオ!!!」
古代大鬼が雄叫びを上げ、ヘーロに追撃を加える。
なんとか致命傷だけは避けながら、ヘーロは古代大鬼の攻撃を捌く。
「クッソ……」
なんとか捌けているものの、このままではヘーロの方が先に限界が来て負ける。
ヘーロはそう確信していた。
そして、もしヘーロが負ければ……町がどうなるかは火を見るより明らかだ。
「負ける訳にはいかない……なら……使うしか……ないか」