家族
殴られ続けて、もう随分の時が過ぎた。
オレが1番望むもの……なんだ?
オレは何を望んでる?
自由?
オレはずっと親戚の言いなりで生きてきた。
学校に行き続けたのは親戚に休んじゃダメだと言われたからだし。
もっと自由に、自分の好きなことをして生きてみたかった?
いや、違う。
確かに、自由も望んでた。
でも、1番はこれじゃないと確信できた。
早く、早く自覚しろ!
そうじゃなきゃ、本当に殺される!
「ほら、どうした?まだ自覚できない?死にたいの?」
死にたいわけない!
いや、もう死んでるんだっけ?
あれ?
クソッ!混乱してきた!
「やっぱり君じゃ、ボクの所有者足りえないかな」
また強烈な拳がオレの腹に突き刺さった。
ああ、死ぬ。
オレ、もう死んでるし、ここで死んだら、あの世へ行くこともなく、滅びるのかな?
せめて最後は両親との幸せな日々を思い出しながら、死のうかな。
ああ、そうか、オレ、愛して欲しかったんだ。
愛してくれる家族が欲しかったんだ。
ふと、頭に1人の黒髪の女性が浮かんだ。
誰か分からない。
けれどオレは、気づくと、
「瑠璃……」
そう、口にしていた。