VS人影 その5
こいつを殴り続けて分かったけど、こいつ、そこまで近接戦闘得意じゃないな。
多分、今までダメージを負うことがなかったから、技術を鍛える必要がないと思っていたんだろう。
こいつが幻にさえならなければ、瑠璃が負けることもなかったんじゃないか?
瑠璃も魂に直接ダメージを与えることはできるけど、基本的に魂に攻撃するには相手が格下、もしくは同格である必要がある。
こいつは存在の格そのものは高いから、瑠璃は魂に攻撃できなかったんだろう。
「さて、そろそろ滅べ」
オレは、さらに強力な『狐火』を拳に纏わせ、力いっぱい人影を殴った。
「グ、グアアアアアアアアアア」
それによって人影は完全に消滅した。
これで一安心か?
ひとまず、こいつについて考えるのは後にして、今は瑠璃だ!
「瑠璃!大丈夫?」
「うむ。傷も大体再生できた故、問題ない。それより、助かった」
「大丈夫なら良かった」
瑠璃が大丈夫そうで安心した。
「さて、これからどうする?」
「戦争も大分めちゃくちゃになってしまった……これの後始末も『竜』としての仕事ではあるが、しばらく休みたいものだな」
「ま、オレも手伝うからさっさと終わらせよう」
「うむ」
そんな会話をしていた時だった。
突如、パチパチパチと、誰かが手を叩く音が響いてきた。
「素晴らしい。まさか、多少オリジナルである私より劣るとしても私の1人を滅べせるとは、あなたの実力、少々、見誤っていたようです」
音の鳴る方へ顔を向けると、そこには、
「『樹……界』……?」
『災害指定』が1柱……『樹界』ファンタズムが、そこにいた。
圧倒的なまでの神力による圧を放ちながら……。