VS人影 その4
転移してすぐ、瑠璃の傷を直に見て、怒りが頂点に達した。
人影は、オレでもその姿はモヤがかかって見えない。
つまりこいつは、オレと同じ亜神……。
まあ、そんなこと関係ない。
こいつはここで確実に殺す!
オレは激怒の感情そのままに人影に殴りかかった。
しかし、オレの拳は人影をすり抜けた。
「幻になった?」
「フフフ、正解です」
「そうか……なら、これならどうだ?」
オレは、拳に『狐火』を纏わせて再度殴りかかった。
オレの拳は、再び人影をすり抜けた。
しかし……
「グアアアアアアアアアア!!!熱い!熱い!熱い熱い熱い熱い熱い!どうなっている!」
『狐火』自体はこいつに効いた。
そもそも『狐火』は、実際に炎を生み出すスキルではない。
『狐火』の炎自体は幻。
しかし、『狐火』は、幻であるにも関わらず、熱を持っている。
そして、その熱は、魂そのものが感じている熱だ。
いくらこいつが幻になっても、魂自体はそこにある。
ならば、魂そのものを燃やせる『狐火』は、こいつに効く。
「ほら、どうした?そんなに熱がってないで、反撃でもしてきたらどうだ?」
人影を殴り続けながら、オレは人影にそう声をかけた。