122/246
VS人影 その3
〈三人称視点〉
人影の拳が鋭くルリの腹に衝撃を走らせた。
「グッ……ア」
ルリは腕で防御をしたはずだった。
しかし、人影の拳はルリの腕をすり抜け、腹に直撃した。
「厄介な……」
「褒め言葉でございますね」
「厄介だが、それでもお主はここで止める!ここで殺す!」
「フフ、精々頑張ってください」
「いわれなくとも!そのつもりだ!」
ルリが人影に殴りかかるが、それは人影の体をすり抜ける。
そして人影の攻撃は全てルリに当たる。
それが繰り返され、しばらくするとそこには、ルリは満身創痍になり、人影が無傷でルリを見下ろす光景が、あった。
「やはり無駄な足掻きでしたね。それでは、あなたの魂も贄とさせていただきましょう」
人影がルリにそう言うと、
「フッ、無駄ではない!時間を稼ぐことができたのであるからな!」
「何?」
「我は一度も、お主を殺すのは我だと言っておらぬぞ!」
「何?……まさか……!!!」
次の瞬間、ありえないほどの重圧を……殺気を放った狐が現れた。
「瑠璃に何してやがる!!!!!」