VS人影 その2
〈三人称視点〉
『反転』……その言葉と同時に全ての『魂壊ノ黒炎』が本物になり、ルリに襲いかかった。
しかし、ルリはそれに驚きながらも、冷静に……
「『掌握』」
そう言葉を発した。
次の瞬間、全ての『魂壊ノ黒炎』が動きを止めた。
そして、向きを変え、一気に人影へと向かっていった。
人影に大量の『魂壊ノ黒炎』が当たり、大爆発を起こし、爆煙を撒き散らした。
しかし、
「なるほど、これほどまでとは……予想以上でした」
人影は煙の中から、何事もなかったかのように無傷で現れた。
「これでもダメであるか……」
「ええ、その通りです」
「だが、大体分かったぞ!お主の力」
「ほお、聞きましょうか?」
「幻を現実に、現実を幻にする……というものであろう?」
「素晴らしい。その通りですよ!まあ、見れば分かりますよね」
「うむ」
「ところで、私もあなたの能力で分かったことがあるんですよ」
「何が分かったのだ?」
「あなたの『掌握』ですが、私の術を掌握したことから、格上相手にも通じるものなのでしょう?……しかし、弱点もある。格上の存在の使う術を掌握することはできても、格上の存在そのものを掌握することはできないのでしょう?」
「……………」
「であるならば、近接戦闘といきましょうか」
人影はそう言うと、ルリに殴りかかった。