復讐 その2
勇者たちは、いきなり燃え始めた勇者に驚き、固まった。
ああ、良いなその顔!
困惑、驚愕、そして恐怖の入り混じった良い表情だ。
お?
少し眺めていたら、勇者の1人が燃えている勇者に近づき、炎に触れ、そして、
「『消火』」
と呟いた。
次の瞬間、オレの炎が消え去った。
へえ、面白いな。
「はっ!ざまあねえな!この炎に自信があって俺たちに戦いを挑んだんだろうが、こいつがいる限り炎は無意味だ!」
さっきまで燃えていた勇者がいつの間にか火傷を治し、そう言ってきた。
ふむ。
さっきの『消火』はユニークスキルかな?
自分の力量に関わらず、炎ならなんでも消せる……ってとこか?
そこそこ強いけど……。
「わざわざ炎に触れたってことは、発動条件が炎に触れることなのかな?」
一気に『消火』を使った勇者に近づき、両腕を斬り落とした。
「ヒッ!ギッ!ギィャアアアアアアアア!!!俺の!俺の腕がー!!!」
「喚くなよ。うるさいな」
そう、その勇者に声をかけながら、周りを見てみると明らかにさっきまでの余裕がなくなり、引き攣った顔をした勇者たちがいた。
その顔も良いけど、やっぱり絶望した表情が見てみたいな。
「さあ、少しは抵抗してくれないとつまらないぞ?もっと頑張って、オレを愉しませてくれ」