愚竜 その3
〈三人称視点〉
ドラクルスの一言によって、海がルリに攻撃を始めた。
巨大な棘となりルリを襲ったり、紐のようになりルリを捉えようとしたり、さまざまな方法で海はルリに悪意を向ける。
その海の攻撃には、ドラクルスの魔力も込められており、当たればルリに傷を付けることもできる。
しかし、その攻撃はルリにとって遅く、何の脅威にもなり得ない。
しかし、ドラクルスは、海の攻撃だけでは決定打にならないと分かると、自分でも魔法を発動し、攻撃を始めた。
数多の魔法がルリを襲い、ルリはそれを避けるのに専念する。
「クアハハハハハ、どうした?避けてばかりで反撃してこぬな!ああ、そうか!反撃する余裕がないのであるか!」
ドラクルスはそう挑発するが、ルリは気にせず、攻撃を避け続ける。
それがしばらく続き、ルリに避ける体力がなくなってきたのか、ドラクルスの攻撃をルリはスレスレで避けるようになってきた。
「クアハハハハハ、どうだ?自分より格下だと思っていた者に反撃すらできずに負けるのは!?」
勝ちを確信したドラクルスがそう言うと、
「そろそろ良いか……」
ルリはそう言い、
「『掌握』」
ドラクルスの魔法と海の攻撃が止まった。
「知っておるか?相手に勝ちを確信させてから圧倒的な格の違いを見せることで、相手により深い絶望を与えられるのだ。さて、教えてはくれぬか?勝ちが無くなった今の気持ちを」
ドラクルスの魔法と海が、ドラクルスに向かって攻撃を始めた。