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愚竜 その1
〈三人称視点〉
戦場から離れた海の上、そこでドラクルスとルリは対峙していた。
「グゥ、流石であるな。我をここまで吹き飛ばすとは」
ドラクルスが腹を押さえながら苦しそうにそう言うと、
「フッ、まさかここまで飛ぶとは思わなんだわ。もう少し飛ばす距離が短くなると思ってあったのだが、お前は弱いな」
ルリは、嘲るようにそう言った。
「フッ、フフフ、フアハハハハハハハハハハ!!!」
「急に笑い出すとは、気でも狂ったか?」
「今日を心待ちにしていたのだ!お前を我が物とする今日この日を!」
「やはり狂ったか。貴様程度が我を手にするなどあり得ぬ」
「狂ってなどおらぬ!」
「そうか、ならば相当な阿呆ということか」
「この場所も、我にとっては最高の場所だ!貴様は我を我にとって最高に戦いやすい場所に飛ばしたのだ!」
そういうとドラクルスは大量の魔力を放出し、
「『我に従え、海よ』!!!」