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掌握
〈三人称視点〉
戦争が始まり、それが戦争から魔族による侵略者の殲滅へと形を変え始めた頃、それは突如として現れた。
それは、圧倒的なまでの威圧感を放つ空の王者……『竜』……。
魔物の竜ではなく、世界の調停者たる『竜』が、数10体いきなり現れた。
それは、魔族からしても、人間からしても全くの予想外のことだった。
現れた『竜』は、人間も魔族も無関係に虐殺を開始した。
『竜』は、創造神により創られた世界を守るための存在。
その力は強大で、普通の人間や魔族では足元にも及ばず、『四天王』と『三大真祖』が、ようやく戦いになるレベルだ。
それが数10体も現れた。
それは人間と魔族にとって絶望するには十分な理由だった。
反撃する者はいる……、しかし、どんな攻撃もかすり傷すら与えられない。
『四天王』と『三大真祖』でも、決定打を与えられず、攻めあぐねていた。
しかし、そんな絶望もすぐに終わりを迎えた。
「『掌握』」
その一言によって。