第二話
「おい!追っ手を出したと言ったな~報告は来たか?」
「いえ、まだです・・・」
村の集会所にタムロしている面々は、何故剣聖がここまで慌てているかわからない。
途方にくれた。
「あの剣聖様、一体何が?」
「ああ~どうせ、追っ手の奴らもやられているに違いない~帰って来ないのだもん。どうする。こちらから依頼料の倍額を出せば・・いや、この業物の剣を差し出せば」
一人頭を抱えて悩んでいる剣聖は、名案を思いついた。
「そうだーー逃げればいいんだ。勇者パーティーを抜ければ、殺されはしないだろ。ハハハハーーーー」
「「「剣聖様が乱心された!!!」」」
剣聖は、ドアの取っ手に手を掛け手前に引いた。
ドアが開いた瞬間、剣聖のオデコに穴が開き。「パンーー」と音と共に、後頭部がウリがくだけたように散らばり、脳漿が飛び出て、頭の中を通り抜けた何かが、壁に激突し、穴が開いた。
「「「何が、起きた!」」」
一人が、ドアを閉めようと取っ手に手を取ったら、今度は耳に、また、何かが衝突し穴が開いた。
「「魔法を放たれてるぞ!」」
面々は、建物の中に、机などで障害物を作り、地面に伏せた。
この場合は正解な防御方法であるが・・
・・・・
「フフフフ、地面に釘付け・・ね」
一人の黒目黒髪の少女が、村の集会所の100メートル先の草むらから、木と鉄で出来た魔法杖を構えていた。
彼女はうつ伏せで寝転がり、杖の細い方を、敵方に向けている。
杖に対して、斜め45度に体の線がいくように寝転んでいる。
「ふう、64ちゃんの次は、カールさん・・ね」
木と鉄で出来た杖魔法袋にしまった後、また、大きな筒を取り出した。
「フランさん・・後方危ないから、横に10メートル以上離れて・・口を大きく開けて、耳を押さえて・・ね」
早駆けのフランはその姿勢の意味は分からないが、素直に言うことを聞いた。
「後方ヨシ。安全装置ーヨシ、引きがねは、夜露に霜がおりるごとしに、引くべし・・」
と少女が詠唱した後、爆音が響いた。
ズドーーーーンと筒からも火炎が見え。何かが、村の集会所に、激突し。村の集会場は、勇者パーティーとともに、藻屑と化した。
「ふう、次は、村の教会に張り付いているムシさんね・・」
少女は、魔法杖を取り出し、ゆっくりと教会に向かい。
女神教会近辺で、数十発のパンパンと音が響き、やがて、この村には勇者パーティーに所属する者はいなくなった・・
・・・
「私が村長でございます。有難うございました」
「さすがでございます。鏖のアリサ殿」
司祭は礼をする。
「う・・ん。ミナゴロシとか、物騒な名で呼ばないで欲しい・・」
「アリサでいいよ・・」
「アリサ殿、こちらが、依頼料でございます。村で長年集めた砂金でございます」
村長が、樽ごと、砂金を渡そうとしたが、アリサは手で制止して、受け取らないと示した。
「・・しかし」
「ううん・・もうすぐ・・勇者討伐命令が出る・・そこから報賞金もらうよ・・情報が欲しい・・勇者パーティーの位置と戦力・・」
「「「おおおおおおおお」」」
村人は歓声を上げた。長年の勇者パーティーの暴虐に耐えられなくなっていった。
村の若い女性を軒並みさらわれたら、男達は活力を失い。子供が生まれずに、村は衰退する。
そして、国が滅びる。
もう、国も限界だ。
・・この日、アリサが言ったとおり、勇者と勇者パーティーに対する討伐命令が王命で下された。
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