第一話
「はあ、はあ、はあ、はあ」
「おい、待て、止まれ!お前は、聖女の疑いがある。我等の所に出頭しろ!」
一昨日、私の村に、勇者パーティーがやって来た。勇者がリーダーの冒険者パーティーだけど、今は、ただの破落戸の集団に成り下がってしまった。
女神様が召喚された勇者様が、暴虐を働くようになったのよ。お城での修行を逃げ出し、冒険者になった勇者様は、ドラゴンや魔物に立ち向かうでもなく、ただ、適当に、遊んで暮らすようになった。
魔族との講和がなった現在、四本角(魔王)討伐はない。しかし、国中に魔物や、盗賊など、勇者の力を必要にしているのに・・勇者が災害になってしまったの。
勇者特権に群がる悪い仲間が集まり、勇者アギトと仲間達は、聖女を徴収すると言っては、女を慰み者にし、日々無頼に過ごしている・・
領主様も手を出せない。
私達は、村の女神教会に保護を求め、籠城した。
教会には魔道通信機がある。司祭様が、ある人物と連絡を取って下さった。
「もう少しよ。勇者相手でも、戦ってくれる冒険者がいるって、待ち合わせ場所まで、もうすぐよ」
私は、道を急ぐ。
私の異名は、[早駆けのフラン]、足には自信がある。案内人として選ばれ
奴らのスキをつき。教会から飛び出した。待ち合わせ場所で合流し、奴らの戦力を報告したり、この村まで案内するのが役目だ。
☆☆☆村の集会場屋内
「剣聖様、逃げた女を追っていた奴らが帰って来ませんぜ」
「別にいいよ~、女をやっちまっていたら、良い女だったら奴らを斬ってやるし、醜女だったら、まあ許してやんよ~、勇者パーティの聖女、もう100人越えてるし~」
「ギャハハハ、聖女が100人のパーティって、バランス悪すぎ!」
「剣聖も30名越えたし~」
俺は、鳴かず飛ばずの剣士だったのよ~でも、勇者パーティーに入ってから~金と女が楽に手に入るようになったよ。四本角(魔王)討伐のない勇者パーティーはほんとラク。
20代後半の、無精ヒゲを生やした優男は、上級剣士には届かない腕前だが、剣は勇者パーティーに優先的に渡されるドワーフ族特製の業物である。
無造作に剣を机の上に置いて、机の上に足を掛けている。イスを足でバランスを取りながら、行儀悪くイスに腰掛け、昼間っからビヤをチョビチョビやっている。
その飄々とした性格から、勇者アギトに気に入られ、剣聖長を任され、今もこうして、聖女狩りを行っている。
「剣聖様、村の奴で、仲間に入りたいってのが来ました。何でも、手土産に情報があるって言ってますよ」
「ふ~ん。女神教会の攻略方法とか~それならいいよ~。どうせ、説得すれば、[無体なことはなさらないで下さい]と言いながらも、女を差し出すだろうぜ」
まあ、情報は無料だ。聞くだけ聞こうか。
「わっしはサムっていう、キコリです。力は強く、暇な時を見つけては剣術稽古を・・」
「はい、はい、さっさと言いな。情報次第で、入らせてやるからさ」
入れるわけないだろう。分け前が減る。この国では、勇者パーティーに弓を引く奴はいねえよ。
「ほら、さっさと情報いいな~」
「はい、昨日、女神教会の中で、総会が開かれたんでさ」
総会の結果、冒険者に勇者パーティーの討伐を依頼することにした。教会には魔道通信機があって司祭が連絡を取っただと~
たいした情報ではないね。
冒険者ギルドが勇者パーティー討伐を受けるワケがない。
勇者こそがこの国の冒険者ギルドの頂点だからだ。
まあ、無駄に正義感の強い冒険者が、私的に、受けて、返り討ちになるいつものパターンね。
「それで、早駆けのフランって娘っ子が案内役に選ばれ、待ち合わせ場所に行くことになったのでさ」
ああ、あの逃げた女ってことね。情報は合致した。
「それで、討伐を受けたバカって誰よ。パーティー名は?」
「いえ、それが、アリサって、女で、鉄のツブテを使う魔法士で、一人でさ。あっしは冒険者なら、一人二人撃退できまさ、どうか、勇者パーティーに・・剣聖様、どうしたんでさ・・」
剣聖は、急にブルブル震えだした。
「お、お、お前、今、鉄ツブテ使いのアリサって言ったのか?なあ、鏖のアリサじゃねえかーーーーー北方の王国から出張って来たのかよ?」
「へえ、よくわかりませんが・・女なら、わっしが入隊試験代わりにこの斧で討伐してやりまさ!」
剣聖は立ち上がり、素早く剣を取り。
「何故、もっと早く報告しねえ!入りたいのなら、依頼を阻止しろよ。間抜けがーーーー」
と無理難題を裏切り者のトムに投げかけ、首を斬った。
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