第8話 仲間がいればいるほど強くなる
帝国の外――峡谷『ユーフォリア』へ飛んだ。
ここは以前、ボスモンスター・サンダードラゴンを倒した場所だ。今や主はおらず、雑魚モンスターしかいない。なので安全だ。
「な、なんだここは……テレポートだと!?」
レイクとその一行は驚きを隠せないでいた。
「ウチの大聖女は最強でね。これくらい朝飯前なのさ」
褒めるとメアは顔を真っ赤にして俯いていた。そういえば、褒めると弱いんだっけな。とりあえず、薄暗くて視界も悪いな。
「先生、場を明るくしましょうか」
「出来るのか、アイリーン」
「ええ、お任せください」
ポケットから『フォーク』を取り出す、アイリーン。その不思議な行動に俺は疑問を覚えた。
「アイリーン、そのフォーク……」
「これが私の杖なんですよ、えいっ」
アイリーンがフォーク振ると空に光の塊が打ち出された。それは閃光となり、周囲を照らした。すげぇまぶしい。昼みたいだ。
「やるな、アイリーン。見習いとか言って凄いじゃないか」
「えへへ……照れますって」
アイリーンも照れ屋さんかな。
さてと、こうなれば戦闘もしやすい。
「レイク、俺はギルドから捨てられてよく理解したよ。お前は最低な男だってな! 寧ろ、追放されて良かったとさえ今は思う」
「あぁ、同感だ。こっちもお前を捨てて清々したよ。お前みたいな最弱な剣士はいらねぇ。……だが、そこの大聖女は別だ。さっきのテレポートは凄い力だ。やっぱり奪わないと気が済まねぇ」
今度は本気のようで剣を向けて来るレイク。俺も調達したばかりの使い捨てロングソードを構えた。
「二人は俺が守る。でも、メア、アイリーン……お前達を誰よりも信用している。背中は任せたぞ」
「はいっ! イーサン様」
「先生……頑張りますっ」
パーティボーナスでパワーアップした俺の実力。今こそ示す時だ。
ゆっくり歩いていくと、まずは下っ端がレイクを守るように前へ出る。……全員、ぶっ倒す。
「うおおおおおおおおおお……!!!」
「イーサンをやっちまええええええ」「りゃあああああああああ」「死ねええええええええええ!!」「くだばれええええ!!」「顔面ボコボコにしてやんよ!!」「一斉に行けば余裕だろ!!」
向かって来る六人だが、俺は剣を思い切り振り下ろす。
『ポキッ……!』
もちろん、ロングソードは折れた。折れたが、それこそが俺の真の実力が発揮される瞬間である。
パーティボーナスと同調し、更にステータスアップしている俺。そう、俺はアイリーンを仲間にしてから、更に強くなった。
この力は、信頼できる仲間がいればいるほど強くなれるギフトなんだ。だから……だ・か・らッ!!
「シャインブレイドッ!!!」
一応、そんな必殺スキルである。
シャインブレイドは、あまりの威力故に剣の刃が折れてしまう。だが、最強にして必殺を放つ。これを受けた者はもれなく――死ぬ。
「「「「「「ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~!!!!!!」」」」」」
まさに砲弾。
莫大な量の白い魔力砲が飛んでいく。
破滅的な破壊力を撒き散らし、下っ端を一撃で粉砕。ある者は大岩に激突して全身を骨折。ある者は川に落ち、凄まじい水飛沫を上げた。残り、地面にクレーターが出来ており、その威力を物語っていた。
これが『パーティボーナス』の力!
「ば、馬鹿なああッ!!」
「兄さん、あいつ……強すぎよ!!」
レイクもコリーナも顔面を青くしていた。
さて、どう料理してやろうかな。