第1話 追放と大聖女
「イーサン、貴様は無能だ! ギルドから出て行って貰う」
「マジィ~!?」
最弱剣士の俺は、能力不足でギルドを強制追放された。ギルドマスターのレイクは、仲間と共にゲラゲラ笑って去っていく。
「じゃあな、イーサン!」
「うそ~…俺、ぼっちじゃん」
もう戻れないのなら仕方ない。悔しいけど。
それから三日後。
荒野をひとりさまよっていた。
砂埃が目に入って涙がダバダバ出ていた。
「ん?」
「た、助けて~~~!!」
あ、女の子が連れ去られそうになってる。しかも、男達の顔が見おぼえがある。俺のいたギルドじゃん。恨みはないが、女の子が連れ去られそうになっているのを黙って見ているほど俺は落ちぶれちゃいない。
鞘から剣を抜き、そのまま突撃した。
「その子を放せ!!」
「んだぁ、てめぇ……って、イーサンじゃねぇか! 最弱剣士の!」
「うるせー! 元メンバーでもうお前達とは関係ねぇーんだ」
「じゃあ、こっちに構うな!」
「そうはいかない。このロングソードを受けてみやがれ」
剣を上から下へ振り下ろす。
敵の頭上に落ちると――剣がポキリと折れた。
……折れた。
「あああああああああああああああああああああああああああ……!!!!!」
どしゅっと……敵の剣が俺の心臓を貫く。死んだ。
◆
――目を覚ますと、俺は女の子に泣かれていた。
「助けて戴きありがとうございました!!」
「え……俺、助けたっけ。死んだ気がするけど!?」
「助かりましたぁ! お礼に力を差し上げます」
「へ?」
ぶぅんと全身が光ると、俺は力を得た。
なんだこの能力?
スキル『パーティボーナス』ぅ?
俺はなぜか大聖女メアとパーティを組んでいた。
適当にスライムを倒してみろと言われたので、そうした。すると、一気に経験値が入った。しかもドロップアイテムもどっさりだ。
「うわッ、なんかすげぇ~レベルアップしたぞ」
「それがパーティボーナスの力です」