第19話 ~設定集~ 第一章の舞台:ティフエレト大陸の地図(廉価版)
今より遥か昔か未来の世界――
❖❖❖❖❖
エーン・ソーフ(ên sôph:A.R 1015)再生紀:1015年
ティフエレト大陸地図廉価版:銅貨50枚 ~カーソン商会~
<購入可能通貨>
◆白金貨:白頭鷲王冠の刻印。
◆金貨 :薔薇と王冠の刻印。
◆銀貨 :西洋籠手の刻印。
◆銅貨 :古代都市の刻印。
※下位の硬貨100枚でひとつ上位の硬貨1枚の価値。
❖❖❖❖❖
「なんだ、これは」
ハリド・カーソンはマガフ支店の支配人就任初日、店舗で販売されている地図を見ながら独り言のように呟いた。
「ど、どうかしましたか?」
<交易界の奇術師>とまで称されるカーソン家子息の言葉を無視する訳にもいかず、たまたま、横を通りがかった青年の従業員が恐る恐る質問する。
「まず全体図が小さすぎる。何が描いてあるのかちっとも解らねえ。あとは――この大陸以外の情報が載っていないのはまだしも……国境線も道路もなにひとつ描かれてないではないか」
「え、ええ……一応その、廉価版を謳ってますから」
「こんなもんが店にあっちゃ、商売の神から落雷でも落とされて店ごと燃やし尽くされるぞ――すぐ地図職人にもっと精巧な地図を作るよう発注しろッ!」
そう冷淡に告げてから、ハリドはまた別の商品を手に取って渋い顔をしている。
……こりゃあ親父殿が難儀する訳だ。とっとと立て直さねえと一年保たずに潰れちまうな。
ため息をつきながら、ハリドは天を仰いだ。