表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/2

飲食店のつぶしかた

中部空港で降ろされたごね太郎はSNSで航空会社へのアンチコメントを書いたあと、自分が空腹であることに気づきました。家の中で暴れ回り、飛行機の中でわめき散らしていたのでお腹が空くのも当然でした。

時間的にもちょうどお昼時だったので電車で名古屋に行き、街中で店を探すことにしました。

そして店を探すこと30分あまり、美味しそうな中華料理屋がごね太郎の目にとまりました。

ごね太郎は早速その店に入ろうとしましたが、その店の扉に「マスクをつけていない方入店不可」と書いてある張り紙がはられているのが目に入りました。

ごね太郎は「ここもあのクソ航空会社と同じでマスクしていない人を差別しているのか!」と怒り、店主を呼び出しました。

「なぜマスクしないといけないんだ!どうせ食べてるときははずすんだから良いじゃないか!マスクしていない人を差別して楽しいのか!」

というごね太郎に店主は

「文句あるなら帰れ!」

とすげなく言い返し、店に戻っていきました。

飛行機に乗っていた時のようなレスバを期待していたごね太郎はこの対応には面白くありません。

そこで録音していた先ほどの会話をSNSに載せた後に店名が特定できるかどうかギリギリの情報を記載した上でその店の対応をボロカスに批判しました。

彼のアカウントは相互フォローでフォロワーだけは数千人なので、良くも悪くも発信力を持っていました。

彼の航空会社や中華料理屋に対する書き込みはたちまちバズり、多くの人の目に触れるようになりました。

その投稿を見た人の中には航空会社や中華料理屋に抗議の電話をしたり脅迫ともとれる文面の手紙を送ったりして両会社は大打撃を受け、営業停止にまで追い込まれていきました。

もちろん彼等もただ黙ってやられていたわけではありません。ごね太郎の投稿に対して抗議する投稿を行いましたが、ごね太郎がその投稿に抗議する投稿を行い、その両者のバトルを面白がってさらに火に油を注ぐ輩によって状況はさらに泥沼化していきました。


そんな様子をみてごね太郎は「自分の投稿で悪徳業者を成敗してやった」と満足感に浸っていました。たしかにごね太郎からしてみれば自分は相手の投稿でなにも失うものがないのに対し、相手を批判すればその分向こうにダメージがいくのです。楽しくないはずがありません。もし自分に対して不愉快なアンチコメントがあったときはそれをブロックすれば良いだけなのですから。


ごね太郎は当初の目的だった沖縄へはいけなかったものの、充実した1日を過ごし満足感に浸りながら家に帰りました。

ごね太郎が家の前についたところ、家の中から警察官がでてきてこうたずねました。

「すみません、ごね太郎さんというかたに心当たりはありませんか?」

「ごね太郎は私ですが…」

「あなたのお母様の殺害に関して聞きたいことがありますので、署までご同行願います。まあ拒否しても証拠が揃い次第逮捕しますが。」

「ババ…母が死んだ?」

ごね太郎は急に今朝自分が軽い気持ちでやったことが取り返しのつかないことになってしまったことに気がつきました。


その後

ごね太郎が勾留されている間に航空会社と中華料理屋は手を組んでごね太郎を業務妨害と誹謗中傷で告訴し、殺人に加えそちらでも取り調べを受けることになりました。

これから裁判も始まるでしょうが、まず間違いなく10年は塀の中から出てこれないでしょう。

納得いかないルールでもルールなので変にごねたりせず大人しくしたがっておいた方が良いと思います。また、何らかの事情によってそのルールが守れないときは申し訳なさそうにその旨を伝えると許してくれることが多々ありますが横柄な態度をとると大事になるので気を付けるべきかなと思いました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ