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恋色の蝶々 第2章  作者: 峰金良介
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3話Part3 修学旅行初日、昭和新山・有珠山にて

 サイロ展望台からバスで数十分、昭和新山・有珠山の麓に到着した。標高がサイロ展望台よりも高いために、一層寒さを感じるそこには、自分たちが住んでいるところからすると時季外れといえる桜が咲いていた。

 添乗員さんがエゾヤマザクラだというそれは、僕たちが想像している桜よりずっとピンク色だった。

「桜っていうより梅の花に近いな……」

いつもなら見られない光景に、目を光らせていた一行であった。




「ここが有珠山ロープウェイの山頂駅か……」

麓からでも見られる昭和新山を眺めたり撮影したのち、僕らは有珠山へと登るためのロープウェイを使い、ロープウェイ山頂駅にたどり着いた。

「てかここ霧凄すぎんか?」

隣で龍勢がそう呟く。それも無理はない、ミストかのような水滴がそこらじゅうを漂っているのだ。当然ながら視界は最悪で、昭和新山なんか見えるわけもない。

「なあ春風希、ここさすがに山頂駅とだけあって寒いな……」

「ああ、麓よりずっと寒い……」

こんな状況なので当然気温は低く、サイロ展望台なんか比べれないほどに寒い。多分気温一桁しかないと思う。

「てかこんな視界悪いんだったら来て損したまであるな……」

「そうだな、ちょっとの間見て回ったらさっさと下りるか……」

見て回るといっても、お土産屋さんがあるわけではないので、さっさと下りることになったが……




 修学旅行初日は、天候のせいでなんだか楽しさが半減してる感はあったが、麓にあったお土産屋さんを回り、そこそこ楽しんだところで終了となった。となると次は宿泊地への移動となるのだが、これまたバスで数十分かけての移動となる。

「ふう、これで今日も終わりか……」

はしゃいでいたせいか、龍勢含め一行は疲れて眠っている。いや、単にバス移動に疲れただけなのかもしれない。

 景色を楽しめていないのは正直残念でならないが、修学旅行自体はここまで楽しめているので、ホテルに入ってからみんなと過ごす時間や、ホテルでの食事など楽しみな要素がたくさん頭に思い浮かんでいた。

「あっそういえば……」

いろいろ考えているうちに1つ思い出したことがあり、僕は近づいてきかねない先生方に細心の注意を払いつつ、カバンから自分のスマホを取り出し電源を入れた。

 電源が付き、僕はすぐさまメッセージアプリを開いた。

「連絡はまだなし……まだ楽しんでるみたいやね」

いつ見てもトークの画面の一番上に名前がある女子、水瀬美波からの連絡がないことを確認すると、僕は静かにカバンの中にスマホをしまった。

「何時くらいに連絡してくるかなぁ……9時くらいかな」

美波から提案してきた修学旅行中にあったことを報告するメッセージのやり取りだが、修学旅行期間中の1つのイベントとして楽しみにしている自分がいた。

 メッセージのやり取りを始めた当初(高校1年の秋)は、美波がガンガン話題を振ってきて、僕はそれについていってただけという感じだったが、次第に慣れてきた僕は、自分から話題を振ることも増えた気がする。それもこれも美波と話していると楽しいと自分が思っているからなのだろう。

 ゆっくりでも確実に関係性が進展してきていることに安堵しつつ、僕はバスの窓の外を眺める。相変わらず分厚い雲に覆われた北の大地だが、心なしか雲の向こうが明るく見えたような気がした。


[3話Part4に続く]

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