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恋色の蝶々 第2章  作者: 峰金良介
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2話Part4 仲良くなるのにいる時間

 部活動見学終了後、校門を出た私たち3人の話題は、部活動についてだった。

「2人ともどうすんの?」

「うーん私はまだ迷ってる……有希は?」

「私も迷ってるかなあ……」

2人はまだ迷っている様子で、部活をすれば得られるものや、部活をしないことで出来ることなんかを口々に言いながら比較している。

「部活動やってると先輩と繋がりができて、何か勉強で分からないところが出てきても聞きやすいよね~」

「けどゲーセンとかはなかなか行けなくなるよ~」

「何で?行けることない?」

「無理だよ……練習時間のとこ見たでしょ?終わったら夜8時とかだよ?夜ご飯も食べてない状態で、おまけに練習後にゲーセンは死ぬ……」

「ま、まあそうだね……」

「それに紗桜ちゃん家遠いんだし、下手に寄り道させるのも悪いよ……」

私の前を歩く徒歩通学の2人が、数歩後方を歩く自転車通学の私を見る。

「ね?紗桜ちゃん、部活後にゲーセンはちょっときついよね?」

「あ、うん……ここから家に帰るの40分くらいかかるからちょっときついかな……」

40分、というのは正確ではない。春風希先輩で40分だから、私がこぐともう少しかかるのは間違いないだろう。まあどっちにしても部活後にゲーセンはきつい……

「それに夏祭りとかのイベントも厳しくなるよね~」

まれちゃんの言葉に、私も有希もはっとなる。御咲地区の夏祭りは、御咲高校が夏休みに入ってからなのだが、夏祭りをしている頃は夏季補習があり、午前中、先輩たちだと2時ごろまではそれが続くのだ。すると部活は必然的に午後練になり、2人はともかく私は夏祭り参加はやや厳しくなってくる。服装を気にしなかったり着替えを持ってくれば別だが……

「せっかくのイベントなのに逃すのは痛い……私とまれ、紗桜ちゃんの3人で行きたいのに……」

「え~私どうしようかなあ~」

「おい、稀よ、今回は友達とのイベント大事にしてくれるよな、な?」

(かい)君に呼ばれるかもなあ~」

「ねえ有希、海君って誰?」

まれちゃんが聞き慣れない人名を出してくるもんだから、とっさに有希に尋ねる。すると有希はちょっとイラっとしたような口調で言う。

「こいつの彼氏」

有希はそう言いつつ、まれちゃんを指差す。

「え?まれちゃん彼氏いるの?同じクラス?」

当然だが、まれちゃんに彼氏がいるなんて初耳だった。有希が抱えているようなイライラもなく、単純な興味で質問を続ける。

「うん、クラスは違うけどいるよ~」

「へ~いつから?」

「中2の秋くらいから?」

「まれちゃんなぜに疑問形……」

「いや~もういつからとかはっきりとは覚えてないんだよね~」

「何で忘れてんだよ、まれの彼氏なのに……」

「有希なら私たちの現状分かってるでしょ?」

「ああ、まあ……」

やや空気が気まずい。この2人の会話を聞いているに、まれちゃんと彼氏さんの関係はあまりよくないのだろう。惰性で付き合っているというか、そんな感じなのかもしれない。

 それと、話を聞いていてもう一つ分かったことがある。

「有希って彼氏いたことある?なさそうなんだけど」

「な、なな……ないよ!!なんか悪い!?」

有希はいじりがいがあるかも知れない。たまにはまれちゃんみたくちょっと意地悪になってみようと思った。




あの話から数分後、私たちは学校近くのスーパー(24時間営業)に来ていた。近いとは言っても、徒歩で10分はかかるので近いとは言いにくいけれど。

「結局どうするよ、部活」

「いまいち決め手に欠けるよね~」

「高校生活エンジョイするにはどっちがいいんだろうね~」

2人がそう話す中、私はスーパーで買ったカ○○スウォーターを飲んでいた。

「紗桜ちゃんはどうすんの?部活」

話を振られ、私は口に入っていた分を飲み込んだ。

「私は入らないかな。なんというか、陸上は好きなんだけど、ここまでの情熱はないっていうか……もっと趣味程度で続けたいっていうか……」

あくまで私は楽しみながらやりたい。もちろん部活に入ったら陸上を楽しめないってことはないと思うし、得られることも多いとは思う。けれど

「私は2人と一緒に、いっぱい思い出作りたい。イベントもいっぱい行きたいし、旅行も行ってみたい。だからそれをするには部活やってると足枷になるかなって……」

一日練はないとはいえ、夏休み中も当然のように続く週休1日制(もちろんお盆とか年末年始は数日間のまとまった休みがあるけど)。イベントをみんなで楽しむには、部活は言い方は悪いが邪魔になってしまうだろう。私はそう伝えた。

 私がそう言ってから、しばらく2人はあっけにとられたような表情をしていたが、何がおかしかったのかクスクスと笑いだした。

「有希もまれちゃんも何で笑うの?割と真面目なこと言ったんだけど……」

「いや、会ってまだ数日なのに、そこまで大事に思ってくれてるんだなって……」

「嬉しいこと言ってくれるよね紗桜ちゃん」

そう言うと、有希は私の左肩に手を置き、まれちゃんは私の両手を握ってくる。

「そりゃ入学式の日からあれだけ話したわけだし。それに、友達になるのにそんなに時間いらないよ」

入学式の日以来、暇さえあればお互いの中学時代や小学時代について話し、また次はお互いの趣味について話し。相性が悪ければ、そういうことには耐えられないのだろうけど、この2人と話していてそういう風には感じなかった。仲良くなれる、そう感じていた。

「んじゃ、私も無所属でいきますかね……」

「有希も紗桜ちゃんも無所属なんだし、私も無所属でいくよ~」

有希は肩から手を離し、まれちゃんは両手から手を離すと、2人ともこちらに向き変える。

「そっちが誘ったんだし、私たちの高校生活他の人よりずっと楽しませてよね?」

有希とまれちゃんがこぶしを突き出してくる。2人の想いに私は少し頬を緩ませる。

「もちろん、でもそっちも私のこと楽しませてよね?」

みんなで突き出したこぶしを、まるで同盟を結ぶかのようなノリでつき合わせた。

 この頃には、私の胸にあった不安、友達ができるのかなんて不安は、遠い空の彼方に消えてしまっていたのだった。


[2話完、3話Part1に続く]

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