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恋色の蝶々 第2章  作者: 峰金良介
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2話Part3 部活動見学

 入学式から2日後、部活動見学初日の放課後、荷物の整理を終えてカバンを脇に携えた私たち3人は、陸上部が活動を行う運動場へと向かっていた。

「楽しみだね~」

「さすがに中学時代よりは厳しいのかな……」

口々に2人が御咲高校陸上競技部への期待や不安を話す中、私だけは違うことを考えていた。何を隠そう、春風希先輩のことだ。春風希先輩が無所属なのは知っているが、どうやら仲が相当いいらしい女子(私からすると先輩になるけど)も無所属とはいかないまでも、活動機会が少なくて、放課後は春風希先輩と過ごすことが多いというのだ(可純ちゃんの情報より)。

「どうしようかな……」

「おっ、紗桜ちゃんは早速入部を検討中?」

「いや、それは見てからじゃないと何とも言えないんだけど……まあそんなところ」

「そんなところ……?何なのかなあ?」

言い方のせいで、怪しむような視線を向けられる。

「な、何もないよ?入部を悩んでるってだけ!」

「ふ~ん?」

顔を赤らめた私の様子が面白かったのか、2人(特にまれちゃん)がニヤニヤした表情を浮かべる。

「な、何か?」

「ん~?何でもないよぉ?」

まれちゃんはおとなしそう、なんて思っていたが、その認識は改めたほうがいいのかもしれない……と感じた。






「ようこそ陸上部の部活動見学へ!」

グラウンドへと出ると、もうすでに先輩たちがウォーミングアップが始まるのを今か今かと待ち構えていた。中学校までとは違い、各々自由な練習着を着ている先輩たち。その輪の中心にいる部長が、今日部活動見学に来た新一年生たちに声をかける。

「今日は来てくれてありがとう!僕は陸上部部長の飯塚です。活動内容について説明していく前に、役職持ちとマネージャーの紹介から……」

そう部長が言うと、副部長やマネージャーなどが名乗っていく。有希やまれちゃんにとっては見覚えのある顔もあるようだったが、私はというと、そんな先輩は1人もいなかった。春風希先輩曰く、先輩と私の出身中学である江川南中学からこの御咲高校に進学した陸上部員もいなくはないらしいが、数が少ないうえに、一部の部を除いて勉学重視気味の御咲高校では、よっぽどそのスポーツに自信がない限りは入ってもすぐに辞めてしまう(早い人は入学してすぐの6月に退部も……)とのことだった。

 初心者歓迎とはよく言うけど、中学校である程度成績を出した人でも、高校では県大会出場も叶わないなんてことはざらにあるらしく、春風希先輩のように高校ではやらないという人も多いようだった(実際私の周りの席の人も何人かは部活やらないと言ってた)。

「役職持ちの紹介が終わったところで、活動内容について説明していくね」

先輩がそう言うと、新入生の手元に、『1年間の活動』と題された資料が配られる。

「うわっ、結構きついね紗桜ちゃん……」

まれちゃんが私にそう言うので、手元の資料を見てみると、地方大会に県大会、新人戦、その他の大会など、陸上にとってはシーズン中といえる9月10月ごろまでは毎月一回は何かしらの大会に出場するようだった。中学生の時もここまでではなかったとはいえ、同じように大会に多く出場していたので慣れはすると思うけど、正直私はこれほどの日程は求めていなかった。

「確かにちょっときついね……」

 もともと私は、やるにしてももう少し楽に、趣味レベルで陸上を楽しめたらいいなと思っていたので、こうも真面目だと、ちょっとついていけなくなると思った。おまけに中学時代に引退してからここまで、本気で陸上をしてこなかったものだから、余計に厳しくなると直感した。

「ちょっと求めてるのとは違いすぎるかな……」

 その後、先輩たちが練習するのを見ながら練習内容等を確認したけど、内容は正直右から左に流れていったので私は覚えていない。


[2話Part4へ続く]

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