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恋色の蝶々 第2章  作者: 峰金良介
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2話Part1 入学式

 4月初旬のある晴れた日、御咲高校では入学式が行われていた。入学式の行われる体育館内では、新入生がこれから始まる高校生活への期待で胸を弾ませ、文武両道の実現への不安を抱えていた。かく言う私、斎藤紗桜も例には漏れなかった。

「私ここに馴染めるかなあ……」

小中学校と同じ学校に通ってきた可純ちゃんや、中学時代の友達が進んだ江川高校ではなく、あえて少し遠い御咲高校を選んだのには、御咲高校の進路実績が高いということ以外にも理由があった。

 春風希先輩が通っているのだ。好きな人がいる学校に通いたいだなんて、一般的に見れば不純な理由かもしれないが、私が進路を決める理由としては十分なものだった。

「紗桜ちゃん……だっけ?」

私が友達作りに対して漠然とした不安を抱えていると、隣の椅子に座っている子が私に話しかけてきた。志藤(しどう)さん、だっただろうか。

「うん、そうだけど……」

「やっぱりそうなんだ!」

間違ってないことが分かってか、嬉しそうにする志藤さん。

「私のこと知ってるの?」

「うん、中学時代の陸上競技大会であったことあるもん!」

陸上記録会といわれ、記憶を遡ってみる。私の中学時代の専門は400mで、100mにも出場していた。私は県大会には3年の総体、2年の新人戦の2回出場しているが、県大会では志藤という名前は見た覚えがない。ということは市の大会でだろうか?

「もしかして、市総体で同じ組だった?」

「そうそう!」

3年の時の市総体、3年女子100m最終組に、そういえば志藤の名があったような気がする。

「あ~なるほどね……」

私の専門は400mだったし、目標は高めにしていたので、正直市内には目を向けていなかった……

「まあ覚えてなくても仕方ないよ、紗桜ちゃんあの組で1人だけレベルが違ったんだもん」

「県大会ではさっぱりだったけどね……」

「でも県大会1回しか出たことない私からしたらすごいよ」

「そう……?」

私自身はそうは思ってないのだが、こうして面と向かって褒められると嬉しいもので、少し頬が緩む。

「紗桜ちゃんは高校でも陸上するの?」

「私は……」

正直、迷っていた。春風希先輩はもう高校ではやってないみたいだし、また始めたりする気もないらしい。春風希先輩と関われる時間を増やすためにはやらないという選択肢もありなんだろうけど、情熱が完全に消えてしまっているわけでもない。

「部活見学行ってみようよ!同じ中学校だった子も一緒についてくるんだけど……」

「そうだね……そうしようかな」

そう言うと、志藤さんがさらに嬉しそうにする。

「よし!じゃあ入学式終わったら友達紹介するね!あっ、私は志藤有希ね、有希って呼んでね?」

「もう名前知ってるとは思うけど、斎藤紗桜です、紗桜でいいよ」

「紗桜ちゃんよろしくね~」

ニコニコした有希ちゃんを見て、有希ちゃんは自分とはタイプの違う子っぽいけど、なんとか高校生活も楽しめそうかな……とそう思ったのだった。


[2話Part2に続く]

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