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つれづれ野花  作者: あぐりの
かたこい
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かたこい 15

次の日は始業式だった。夏目くんはいつもの時間かな。さすがに今日は自主練しないかな。昨日聞きたかったけど、聞くタイミングがなかった。

テストが終わってから、夏目くんともしかしたら帰れるかも⁈と期待していたのだけど、まぁ帰れたんだけど、吹奏楽の彼も一緒に、3人で帰ることになったのだった。テストを受けていた10人くらいの内、電車が同じ方面なのは私達3人だけだった。

彼は私の次の駅で降りる人で、私が夏目くんと2人きりになれる時間は無かった。3人で会話出来るように気を遣ってくれたりして、優しい人だっただけに、私のこの邪な気持ちが申し訳無く思えた。でもやっぱり2人になりたかったなぁ。

なんて考えている内に、いつもの電車が来た。夏目くんはいないかもしれないけど、いるような気がしてもいた。いたらラッキーって気持ちで、私はいつもの時間の電車に乗った。

パッと見だと、いるか分からなかった。キョロキョロする勇気は無いので、私はいつも通り駅まで悶々と過ごす事になった。

駅に着いて見渡したけど、夏目くんは見当たらなかった。改札を出た後の階段にも居なくて、私は、はぁ〜っとため息が出た。いないかも、って気持ちもあったけど、寂しいなぁー

まだ薄暗い中、今日は始業式だから人も少ない。そう言えばしばらくずっと夏目くんと一緒だったり、丹波がいたりの通学だったから、1人で歩くの久しぶり。今までの時間は、私には幸せ過ぎる時間だったなぁと、改めて思った。


「うひゃあっ!」

急にほっぺに何かが当たった。

「うひゃあって!あははは!」

見ると、夏目くんだった。手に温かいコーヒーを持っていた。

「びっくりさせてごめんね!」

ちょっと申し訳なさそうな顔をしながらも、してやったりって雰囲気だった。

「…全然悪いと思ってないよね?」

私は夏目くんがいた嬉しさで胸がいっぱいで、抑えるのが大変だった。それでもムクれながらそう言うと、夏目くんはニヤっと笑って、

「びっくり作戦成功〜」

と言った。何だか今日はテンション高めな夏目くんだ。

「朝から元気だね。」

私が言うと、

「そーかなぁ?」

と夏目くんは言って、

「学校始まるし嬉しくないけどね。」

と笑顔で言った。私がその笑顔にやられたのは言うまでも無い。

「今日はいないと思ってた。いつも偉いよね!」

とコーヒーを飲んだ。

「夏目くんこそ、自主練とか、エライじゃん。」

私がそう返すと、

「うん、俺らエライよね。」

と、夏目くんは笑って言った。

さっきまでの薄暗い雰囲気と同じくらいの私の気分は、一気に晴れて行った。


夏目くんは、私がいないと思って反対側の階段下にある自販機でコーヒーを買っていたから、私は見付けれなかった。戻ってみたら私がいたからビックリしたと言っていた。私も居ないと思っていた夏目くんにかなり驚かされたのだけど。

でも、あれは何か嬉しい。結構仲良くないと出来ない事だよね。って考えて、顔がにやけちゃってヤバかった。

私はやっぱり夏目くんが大好きだ‼︎


「さわ、ご機嫌じゃーん」

ってハナエちゃんに茶化されて冬休み中の話や今朝の話を、聞かれなくても私は話してあげた(笑)

「何もー!いい感じじゃん!」

ハナエちゃんはそう言って、

「夏目くんに部活が無ければ付き合えそうじゃない?」

と、私には嬉しい事を言ってくれた。

冬休みの電話の時から、ちょっと私もそう思っていたのだ。自意識過剰とかかなって思ったりもしていたから、ハナエちゃんみたいに冷静な人に同じ事を感じてもらえるのは、ちょっと自信になった。

けどハナエちゃんはその後、

「まぁ、後半年は無理だね。」

と言う冷静な判断を忘れなかった。そうなのだ。部活はまだ半年は少なくともあるのだ。

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