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つれづれ野花  作者: あぐりの
かたこい
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かたこい 5

それから、味をしめた私は毎朝早く行く事にした。各駅停車の電車に乗って次の駅で急行に乗り換える。夏目くんはだいたい同じ車両に乗っていて、私はあえて、その車両より前の車両に乗るようにしていた。理由は、ただただ私が恥ずかしくて同じ車両に乗れないから。ホームで待ってるのを見られるのも恥ずかしいし、車内で話すのも恥ずかしい。

夏目くんは何も考えてないだろうけど、私はとにかく考え過ぎて恥ずかしくて無理だった。本当は、一緒の車両で話しながら電車降りるとか憧れるんだけど、恥ずかしいが先に来ちゃって、頑張ってみたけど無理だった。

そんなわけで、私達は、学校の最寄り駅で改札を出て階段を下りてから、どっちかが話しかける、と言うパターンだった。それはそれで、私は楽しかった。


のだが、そんな私の朝の幸せな2人の時間は、長くは続かなかった。いや、正確には続いていたんだけど、2人じゃなくて、3人、になってしまった。

私と同中で、今は夏目くんと同じクラスの丹波が、私が乗る急行の駅から一緒になったのだ。

丹波とは、中学時代は全く話したことが無かったのだが、サワンが同じクラスになった事があって仲が良かったから、私も話すようになった。とにかく丹波は人なつこい。と言うか、いい意味で空気を読まないタイプな上、無邪気な人だった。だから、人見知りな私でも話せたっていうのはあるけど、本性の分かりにくい人でもあった。

初めて一緒になった時も、私が乗り換えの為にホームに降りると直ぐに、

「おはよー!」

と言って声をかけてきた。

「急行に乗るの?一緒に行こうよ。」

と朝から元気で、車内でもずっと話してるし、夏目くんを見付けてから3人で歩いてる時も、ずっと話していた。良くこんなに話題があるなーって感心したけど、朝からこのテンションは、ちょっと、うん、困った。と言うのが、素直な感想だった。

丹波が嫌いなわけでは無かったし、たまには刺激として一緒もいいけど、本当は2人の時間でまったりな朝をもっと過ごしていたかった。

この3人の関係が3日くらい続いた4日目、丹波は居なかった。居ないと居ないで気になるもので、乗り換えのホームをキョロキョロ探してしまった。

「あれ、今日1人?」

と夏目くんが声を掛けてくれて、

「うん、今日居ないみたい。」

と私が言ってから、シーンとなって、

「居ないと静かだね…」

と2人で言って笑った。丹波が居たら間が持つ、と言うか間が無いんだけど、居ないと静かで間ができる。この間が、3日しか経ってないのに久しぶりな気がして、ちょっと面白かった。恐るべし、丹波パワー。


久しぶりのまったり2人の時間を過ごして、幸せいっぱいの私だった。もっと過ごしていたいけど、学校までは10分くらい…すぐだった。教室に着く頃、

「明日化学だけど、約束覚えてるよね?」

と、夏目くんが聞いてきた。私は、

「私、本当に全然勉強してないよ。夏目くんは本当に大丈夫?」

と聞いた。

「良かったー!俺は大丈夫。勉強しないで、どっちが点取れるか競争ね。」

「えー!私自信本当に無いんだけど。」

「いやいや、俺もだから!」

夏目くんは笑って言って、自分の教室へ行った。私は一人きりの教室で、やっぱり2人きりの朝はいいなぁと、幸せを噛み締めていた。

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