かたこい
ダイキと別れて1年。私はH高に進学した。私達は、あれから一度も会っていない。ダイキの進学先は、高校内に掲示されてた進学情報で知る事が出来た。N大の情報学部と書いてあった。
名前を見た時はちょっとドキッとした。ダイキがこの学校に居たんだなーって思うと、あの頃私もここに居たかったって気持ちが、湧いてきた。でも、会いたいって気持ちとはちょっと違った。懐かしい、そっちの方が合っていた。
それに、ちょっと安心した。行きたいって言ってた学部だし、N大はレベル高いし、あの別れが間違ってなかったって、言ってくれてる気がした。良かった。
H高には私の小学校からは7人行った。女子は私とカノとサワンだった。男子にはレンがいた。
レンとは、中学時代同じクラスになる事が無かったから、話した記憶はあまり無い。でも、中3の修学旅行の時、ある事がきっかけでちょっとだけ関わった。
修学旅行のグループ行動の時だった。私のグループは男女3人ずつで、女子は2年から同じクラスで仲良しのサユちゃんと、小さい頃同じ幼稚園だったリカで、男子には緑川とジュンペイがいた。
そのリカが、朝から私によそよそしくて、ちょっと変な空気になっていた。私は何かした記憶が無かったから気にしないようにしていたけど、グループ行動の時、男子もこの空気を感じてしまい、あまりいい雰囲気で無くなってしまった。私は思い切ってリカに聞く事にした。リカは初めは、何も無いよ。って笑って言ったけど、サユちゃんが、空気が悪くて楽しめない。と言った事で、しぶしぶ話してくれた。
「さわは、私がレンくんを好きだって知ってるよね?」
「あー、うん。」
リカから直接聞いた訳じゃなかったけど、クラスで良く言ってるから、周知の事実だった。
「実は昨日の夜、レンくんに告白したの、私。」
「えっ‼︎そうなの⁈」
私とサユちゃんは一緒に驚いた。
「そうなの?って、さわ…」
リカは呆れた感じに怒りも混じった顔で、
「レンくんと付き合ってるんでしょ⁈」
と言った。私とサユちゃんはびっくりした。男子も私達の異変に気付いて、どーしたー?と近寄って来た。レンの話にジュンペイが交じるのは小学校時代を思い出すけど、今はもう昔の話だ。それを気にしている場合でも無かった。
因みにサユちゃんは、私がダイキと付き合って別れた事を話していたので知っていた。別れたのが約2カ月前で、その間に⁇って目でサユちゃんが私を見ていた。そんな事は無い。だって、話した記憶すら無いのに。
「なんでそんな話に…⁇」
私はとにかくびっくりしていた。
「だって、レンくんが、さわと付き合ってるから付き合えない。って言ったんだもん。」
外野の男子もびっくりしていた。一番びっくりは私なんだけど。
「びっくり過ぎて…」
何を言ったらいいか浮かばない私をよそに、男子が盛り上がっていた。この状況で、緑川が、
「あれ?さわって、年上の彼氏いるじゃん。」
と、爆弾の様な助け船を出してくれた。するとサユちゃんが、
「リカ、ちょっとごめんね。さわちゃんに確認したいんだけど、」
と言って、私に、
「その人と別れた後、レンくんと付き合ったの?」
と聞いた。それを聞いた緑川が、
「えっ‼︎あんなラブラブだったのに⁈」
と反応した。私はとにかく否定をしなくちゃと思い、
「リカ、私はレンと付き合って無いよ。小学校卒業以来、話した記憶も無いくらいだし。」
と、はっきり言った。でもリカは、
「じゃあなんでレンくんは、さわと付き合ってるって言うの?」
と、まだ信じてくれてない。
「それは、ごめんね。私も分からない。ただ、本当に、付き合って無い。」
私はキッパリと言った。サユちゃんも、
「さわちゃんからレンくんの名前を聞いたこと無いし、本当だと思うよ。」
と言ってくれた。まだ半信半疑なリカに、
「レンくんに本当のことをちゃんと聞いた方がいいよ。」
とサユちゃんは言ってくれて、リカも、
「そうだね…」
と、とりあえず私の言葉も信じようとしてくれたみたいだった。
「俺はレンより、年上彼氏と別れた話の方が気になる!」
と、緑川が言い出して、聞きたい‼︎と、もう1人の男子まで言い出した。流れが変わるのは有り難いけど、この話題は嫌だ〜。
「俺偶然会ったんだけど、めっちゃさわラブだったじゃん!」
緑川はそう言って、あの時の事を再現し出した。サユちゃんや、なんとリカまで、キャー‼︎っと言って盛り上がり始めた。リカもいつも通りの雰囲気に戻って来たし、まぁいっか。と思っていると、
「なんで別れたの?さわがふったの?」
と、リカが聞いてきた。ちょっと探られてるのを感じつつ、
「違う。フラれたの。」
と私は答えた。みんなが、えー!なんでー⁇と言って聞いてきた。私は、思い出したくないのに、と思いながらも、
「…このまま付き合ってても、お互いの幸せにならないからって。」
と話した。みんな、⁇⁇って顔になった。だよね、分かります、その気持ち。
「さわはまだ好きなの?」
リカが聞いた。探ってる感じはあまり無かった。
「うーん、そうだね、そうかも。」
正直な気持ちだった。また会いたいって、まだ思ったりはするけど、もう前みたいな関係では無いから、会わずにいた方がいいと思っていた。
とりあえず今は、リカの機嫌が良くなってくれた様で安心した。レンがなんであんな風に言ったのかは、リカに任せようと思った。私がレンに聞いたりしたら、また誤解を招くかも知れないからだ。




