表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
つれづれ野花  作者: あぐりの
うえこい
66/190

うえこい 33

春休みが終わって、クラス替えがあった。嬉しい事に、シイと同じクラスになった。あと、緑川も一緒だった。それと、ジュンペイも。

ちょっとドキッとしたけど、お互いもう小学校の頃の感情は無くて、普通だった。シイと緑川も同じだった。あの頃はあの頃。今は今だ。

シイと私も、クラスで一番仲の良い友達は別だった。仲が悪い訳ではないけど、2年間過ごして来た場所の違いなだけで、普通に楽しい間柄だ。

正直一番気まずいのは緑川だった。春休み中に会ったからだ。学校で見せない姿を見られるのは、やっぱり恥ずかしい。でも、あの時ダイキの言う様に、私に付き合ってくれたんだとしたら、やっぱりお礼は言いたかった。

でも、なかなかいいチャンスが無くて、まぁいっか。と私が思い始めた頃、チャンスがあった。私が部活の休憩で手洗い場に居た時、緑川も来た。

「よーう。」

と緑川は言って、顔を水で洗ってからタオルで拭きながら、

「彼氏とは仲良しな訳?」

と聞いて来た。おじさんみたいな言い方に思わず笑ってしまった。

「あの時は、付き合ってくれてありがとう。」

私が言うと、緑川はちょっと照れて、

「別に。暇だったし。」

と言った。私は、本当に付き合ってくれてたんだ。と思って、いい奴だなーと思った。

「おまえ、いつも彼氏といる時、あーなの?」

拭いてたタオルを首に巻きながら、緑川が聞いて来た。

「あーって?」

私は意味が分からず聞き返した。緑川は私を見て、

「いーや、なんでもねー」

と言って、じゃあな。と言ってグランドに走って行った。私はますます意味が分からず、変なやつ。と思った。でも、とりあえずお礼が言えたから良かった。


ダイキとの約束の日、私は遊歩道のベンチに座って、駅から来る人達を見て待っていた。この駅は路線の変わり目の駅なので利用者が多かった。電車もたくさん来る。でも、ダイキはなかなか来なかった。

私は駅を見るのに疲れて、街路樹の新緑を眺めていた。こうやって待つのは嫌いじゃないけど、不安にならないかって言われたら、もちろん不安になる。前だって、緑川がいてくれたから大丈夫だったのかもしれない。話し相手がいるだけで、不安を忘れる事が出来るのだ。もしかしたら今日は来れないかもしれない。でも、今日の次の約束はしてない。私達の関係は、直ぐに途切れてしまう…

私はそんな不安を飲み込む様に、ペットボトルの水を飲んだ。ダイキと会う時、悲しい顔で会いたくない。私は遊歩道に整備されている花を見て癒される事にした。ツツジが満開で綺麗だった。蜂も蝶も蟻も、忙しそうだ。見てるとちょっと不安を忘れれた。

「さわ。」

私は、ハッとして、声の方を見た。ダイキだった。来てくれた。良かった。私はダイキに小走りで近寄って、

「ダイキ。お疲れ〜」

と言った。私は嬉しかった。

ダイキはちょっとお疲れな雰囲気だったけど、近寄った私の頭をなでなでしながら、

「犬みたい。」

と言って笑った。そして、手を繋いでくれた。


私には、気づけなかった。だってあまりにも幸せな、いつものダイキとの時間だったから。ちょっと真面目な話しも、私をからかったりして、可愛い。って言ってくれるのも、人目を盗んでするトロけるキスも。いつもと同じ、幸せな時間だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ