うえこい 32
ダイキは緑川が帰るのを見て、ベンチに座り込んだ。私は、自販機に水を買いに行った。私が会いたいってワガママになったから、ダイキは走ってまで来てくれたのかな。もしかしたら勉強が波に乗っていい時だったのかも知れない。私は自己嫌悪に陥ったまま、ダイキに水を届けた。
「ダイキ、ごめんなさい。私が会いたいってワガママ言ったから、無理して来てくれたんだよね。本当にごめんなさい。」
私はそう謝って、ダイキに水を渡した。ダイキは、ありがとう。と言って水を飲むと、私を隣に座らせて、
「さわ、違うから。」
と言って、私の両頬をつねった。痛い〜と私が言うと、
「俺が無理してでもさわに会いたいの!」
ダイキはそう言ってから手を離して、また水を飲んだ。
「もう〜言わせないでよ。」
ダイキはちょっと照れながら言った。なんか、可愛い。
「だって、私の方が大好きなんだもん。」
私はつねられたほっぺに手を当てて言った。言ってから、恥ずかしい!と気付いた。うわぁー!って思ってると、
「俺の方が好きだから。」
とダイキは言って、私のおでこにキスをした。
「さわ、手を退けてくれないと、口に出来ない。」
真っ赤な顔した私を、ダイキはフッと笑って、トロけるキスをした。
「さわはいつから居たの?」
ダイキは桜を見ながら私に聞いた。
「…秘密。」
「なんで⁇」
「えー…⁇」
私は言いたく無かった。待ってる間もデートの時間、とか、恥ずかしい‼︎言えないっ‼︎
「まーいーや。俺、さわの事分かってきたから、何となく分かる。」
ダイキは私の顔を見て笑って言った。なんか恥ずかしい。分かってくれるのは嬉しいけど、なんか恥ずかしい!
「さわがさ、俺が約束の時間に遅れても何も言わない気持ちとか、聞かなくても分かる様になったし。」
ダイキは私の頭を撫でながら言った。
「でも、言い訳させてもらうと、俺はちゃんと時間に間に合う様に出たんだよ。」
「ふーん…」
と私が言うと、本当なんだってば!とダイキは言って、
「後輩に捕まっちゃって。急いでるから、って言って後にしてもらったんだけど、話だけ聞いてたら遅くなっちゃった。」
と言い訳した。
「それで走って来てくれたの?」
私が聞くと、
「だって早く会いたいじゃん。」
とダイキは私を抱き寄せて言った。私は、うん。ありがとう。と言ってダイキにもたれた。
「ごめんね、遅れて。」
ダイキはそう言って、私の頭をなでなでしてくれた。
帰りは、駅までダイキが送ってくれた。私は学校の近くまでで大丈夫だよ。と一応言ったけど、送るから。とダイキが言ってくれたので、甘える事にした。
時間が時間なだけに、H高生の姿も見なかったし、パラパラ人がいるくらいだった。お別れはやっぱり寂しいなぁ。
「次はいつ会えるかなぁ」
ダイキが予定を思い浮かべながら言った。春休みが終わると、お互い3年生だ。
予定がお互いはっきりは分からなかったので、とりあえず3週間後になった。ちょっと先だけど、仕方ない。多分、部活があるから、前に一度行ったことのある公園に行く事にした。次会う時は、新緑が眩しい季節だ。




