うえこい 29
帰り道は、駅まで続く遊歩道があったので、そこを通った。この公園のある市は、大きな工場がいくつもあって、経済的に裕福な市だから遊歩道も整備されていた。花壇も綺麗になっていて、パンジーがカラフルに彩られていた。今日は何度も春を感じた日だった。
「さわはさー、テストの結果どうだった?」
ダイキが突然聞いてきた。ちょっとびっくりしたけど、
「普通だったよ。」
と答えた。
「普通って…前は7番って言ってたよね?」
「うん。今回も7番。あ、でも実力は3番だったんだよ〜!」
「えっ!すごいね。」
「理科の物理っぽいのが選択制で、選ばなかったから。」
「あははは。ラッキーじゃん。」
「うん、ラッキーだった。」
「そっかー!さわは頑張ってんなー。俺も頑張ろうー」
と言ってダイキは伸びをした。
「俺、情報関係の大学行きたくて。さわの嫌いな物理系。再来週の模試は判定が出るから、頑張らなくちゃなー」
なるほど。そうなんだ。大変だなぁと思って、
「じゃあ、しばらくは会わない方が、いい?」
と聞くと、ダイキは私の顔を見て、
「さわー、そーゆーのはそんな顔して言っちゃダメ〜反則。」
とダイキは言って、頭をポンポンした。私はそんなつもりじゃなかったけど、顔に出てしまっていたのにびっくりした。そして、ごめんなさい。と謝った。
「うーん、でも俺もさわと桜見たい…」
ダイキはしばらく考えて、
「1時間とか。俺に会いに来てくれる?」
と、ちょっと申し訳なさそうに私に聞いた。
「1時間?」
私が聞くと、
「模試まで部活終わりに学校で勉強しようと思ってて、その合間に会えたら嬉しい。…さわには悪いけど。」
とダイキは言った。
「行く!」
私はちょっとでも会えるのが嬉しかった。会えないのは寂しい。
「3時に、この前行けなかった学校上の公園。大丈夫?」
「うん。今度は見付からずに行く!」
「あははは!本当に頼むね。」
ダイキはまた私の手を握ってくれた。
駅が近くなると、ダイキが時計を見て、
「さわ、まだちょっとだけ時間いい?」
と聞いた。今は4時ちょっと前だった。私が、うん。と答えると、ダイキは私を遊歩道の木陰に連れて行って、ギュッとすると、
「キスして、さわ。」
と言った。私がびっくりしていると、
「さわの好きなやつ。人来ちゃう。早く。」
と言って急かした。私からって…どうやっていいのか…
「早く。」
とまたダイキは急かした。私は恥ずかしさを堪えて、仕方なく、ダイキのほっぺに手を当てて顔を近づけて、キスをした。いつもダイキがしてくれている様に、ゆっくりと優しく。
「さわ。やばい。興奮する。」
ダイキはそう言って、今度は自分からキスをした。ダイキのキスは、いつも私をとろけさせる…




