うえこい 25
ちょっとお怒り気味のダイキの話によると、昨日の部活終わり、部活のみんなと帰ろうとした時に兄と一緒になったらしい。初めは普通の会話だったけど、流れで私の話題になって、兄が、
「羽鳥はさわが好きなわけ?」
と、羽鳥さんにどストレートに聞いたそうだ。羽鳥さんはチラチラっとダイキを見ながら、
「いやー、可愛いとは思ってるけど〜てゆーか、何でそうなんの?」
と答えた。
「さわから金平糖の話を聞いた時、そう思っただけ。スキー以来やたらさわの事言って来るし。最近おまえらまで言ってくんじゃん。違うの?」
「違うってゆーかー。え、何?付き合ってもいいの?」
「別に、さわがいいならいいんじゃないの。」
と兄が言うと、羽鳥さんはダイキを見てニヤニヤしたらしい。ダイキが無視していると、兄が、
「でもあんな天然、付き合ったら大変なんじゃねーの。」
と言い出した。それにはみんな同感だったらしく納得していると、
「なんでみんなして納得してんの?羽鳥とか岩井とか、おまえらは分かるけど…なんでみんな⁇」
と、兄の怪しい目にみんな、いやぁ〜と誤魔化していると、
「え?何この空気。羽鳥、もしかして付き合ってんの?」
と、兄が羽鳥さんに聞いた。
「ジン、探偵みたい〜こわ〜」
と羽鳥さんが逃げようとすると、
「だって空気変わったじゃん。誤魔化してるし。違うの?」
と、珍しくしつこい兄だったらしい。
「岩井、羽鳥はさわと付き合ってんの?」
兄は矛先をダイキに変えた。ダイキは急に振られて、えっ!俺?と言って、
「羽鳥に聞いて。」
と逃げた。すると羽鳥さんが、
「あ、岩井逃げたな。ジン、岩井に聞いた方がいいよ。」
と言うと、勢いで、
「こいつが付き合ってるから。」
と言ってしまった。言ってしまって、やべっと羽鳥さんは焦って、
「なーんてね…」
と言って誤魔化した。誤魔化されてないけど。みんなが、あーあ。と言った。
「岩井が付き合ってんの?さわと?」
兄がダイキに聞くと、ダイキは諦めて、
「そーだよ。悪いね、黙ってて。」
と認めた。
「別にいいけど。…大変じゃね?あれ。」
と兄が言うと、ダイキじゃなくてみんなが、
「そーだよ、岩井、彼女の話になるとすぐ怒るんだよ。」
「会わせてくんねーし。」
「さわちゃんを知られたくないんだよねー」
と言い出して盛り上がっていると、
「あははは!岩井、頑張って。」
と兄は笑ってダイキに言った。
「そんなわけで、バレちゃった。」
とダイキは申し訳なさそうに言った。
「お兄ちゃんに昨日会ってないや。」
私は今日が試合で早いからさっさと寝てしまっていた。でも多分兄は別に何も言って来ないと思った。
「もしかして、わざわざそれを言いに来てくれたの?」
「そう。だって来週まで会えない予定だったから。」
ダイキは体を起こして、
「バレちゃったの、怒らないの?」
と聞いた。
「え?何で?」
私はびっくりはしたけど、怒る意味が分からず、それより、
「忙しいのに、わざわざ会いに来てくれたのが嬉しい。」
と素直に言った。言って、恥ずかしくなった。ダイキは、
「来てよかった!」
と嬉しそうに言って、
「袴姿見れたし。」
とニヤっとして、周りを気にしてからギュッとして、トロけるキスをした。
「…あんまりすると、さわが試合出来なくなっちゃうね。」
ダイキは笑って言った。
「じゃあ、行くね。また来週ね。」
ダイキが帰って行くのを見送って、私が戻ると、後輩が私を探して焦っていた。もうすぐ試合だった。




