うえこい 22
しばらく歩いて、ダイキは後ろに羽鳥さん達が居ないのを確認すると、私の手を掴んで脇道に引っ張った。
「もー!なんであんな状態になってんの⁈俺バレずに頑張ったのに!」
ダイキは怒って言った。私が、
「ご、ごめんなさい。」
とまた謝ると、はぁ〜と溜め息をついて、
「あー、ごめん、違う。…本当にごめん。」
と言って、私をギュッとした。
「ごめん、独占欲強くて。」
ダイキはそう言って、嫌いになった?と聞いた。私は、
「ううん。」
と言ってギュッとした。
私だって、ダイキが私以外の女子と話してるのを見るのはあまりいい気がしない。だから普通のことだと思っていた。けど、やっぱりそこには、好きって気持ちがあるからなんだと思うから、私は素直にダイキの独占欲が嬉しかった。
ご機嫌がちょっと戻って来たダイキが、手を繋いで歩こう。と言ってくれたので、公園まで手を繋いで歩いた。私は、学校から近いのに大丈夫かなと思ったけど、
「こっちの方来る人いないから。」
とダイキが言うので、そっか。と思って遠慮なく繋がせてもらった。
「さわ、嬉しいの?」
ダイキは私の様子を見て言った。
「うん。だって制服のダイキとこうやって歩くと、同じ学校にいるみたい。」
私はちょっと照れながら言った。
「さわが学校にいたら、俺がヤバイ。」
ダイキはそう言って笑った。
「未だに布団に入ると、さわの、思い出して大変なのに。」
と意地悪そうに言って、私の顔を覗き込んだ。私はボッと赤くなるのが分かった。
「家だったら良かったのになー」
とダイキが言うので、私は更に熱くなった。ダイキはそんな私を見て、また楽しげに笑った。
私達は公園に向かうのをやめて、このまま家までの道のりを歩けるだけ歩く事にした。私はずっとダイキと手を繋げるのが嬉しかった。大通りの喧騒から一本入った道は、静かで歩きやすかったし、人気のない所でたまにキスするのも、恥ずかしいけど嬉しかった。
たくさん話もして、兄が学校で堅物なのも分かった。ダイキは2年から同じクラスだったので、初めは全然話さなかったけど、去年から同じクラスの羽鳥さんが、兄をいじっているのを見てから話せるようになったと言った。それを聞いて、やっと会う人会う人、兄と違うって言うのが理解出来た気がした。
「北極の白熊と、動物園のウサギくらいの違いがある。」
とダイキが言った。
「でも真面目な所とか、似てるよなー」
「私は、真面目って言うか、怒られるのが好きじゃないのー」
と私が言うと、
「俺さっき怒っちゃった。ごめん。」
とダイキが申し訳なさそうに言った。
「あれは、私が悪いから…ごめんなさい。」
私が謝ると、
「あ、そうだ、金平糖。買い足すんだった。」
とダイキが言った。私は、いいの。と言ってから、
「ダイキにも買ったの。一緒の。勉強してる時、疲れたら食べて癒されてね。」
と言って、カバンから出してダイキに渡した。ダイキは、ありがとう〜と言って、ホッペにチュッとキスをした。そして、
「俺もホワイトデー。」
と言って、包みをくれた。私は考えてなかったからびっくりした。そっか、バレンタインにあげると、ホワイトデーにお返しがもらえるんだ!
ダイキに、開けていーよ。と言われて開けてみると、ガラスビンに入ったカラフルなマシュマロだった。その包みのリボンにウサギのシルバーチャームがつけられていた。
「さわって、女子なのに筆箱めっちゃシンプルじゃん。」
確かに私は、筆箱がごちゃごちゃして探すのが嫌だから、シャーペンと消しゴム、赤と青のペンとマーカー、定規しか入れてなくて、筆箱自体もデニムのシンプルなものだった。
「筆箱に合いそうだから付けて。」
「ありがとう!付けるね!」
私は嬉しくて、ニヤケが止まらなかった。するとダイキが、
「さわ、お礼のキスは?」
と言った。私は顔が熱くなった。ほら、早く。と言われて、周りをキョロキョロしてから、ホッペにチュッとキスをした。恥ずかしがる私を、ダイキは楽しそうに笑った。




