うえこい 21
私としては、大通りを避け、H高生のたくさん歩いている道も避けて、安全な遠回りをして公園に向かっているつもりだった。実際に、この道でH高生を1人も見かけて無かったから安心しきっていた。よりによって、ダイキが一番バレたくなかった羽鳥さんに偶然にも会ってしまった。そして、今私には良い言い訳すら考えれない…
「羽鳥知り合いなの?」
「なんか、びっくりされてるけど。」
一緒にいた人達が羽鳥さんに聞いている。私の様子から何かを察した羽鳥さんは、笑いを堪えた感じで、
「知り合いなんだけど…会っちゃいけなかったみたい。」
と意味深に言った。私はどうしたらいいか分からなくて、何か言わないと…と頑張って考えていると、羽鳥さんと一緒にいた1人が、
「あれ?俺どっかで会った気がするかも。」
と言い出した。私が何も言えずにいると、
「あ、岩井のだ!思い出した!そうだよね?」
と、聞いてきた。私は顔が熱くなって来た。やばいやばいヤバイ。と思っていると、一緒にいた他の人達が、
「岩井のって、彼女って事?」
「そうそう、で、ジンの妹だから。秘密だけど。」
「えっ!ジンの?雰囲気全然違うけど。マジで妹?」
「本当、なんつーか、小動物っぽい。」
と、なんだかんだ言われ始めてしまって、ますますどうしていいか分からなくなってしまった。すると羽鳥さんが、
「ジンにバレたら岩井にマジギレされるよ。」
と言ってくれた。
「えっ!ジン知らないの?うわー気を付けて岩井いじらなきゃ。」
「あ、岩井呼んでこようか?もうすぐ来ると思うけど。」
「約束してんでしょ?どこで?」
と羽鳥さんは私に聞いた。羽鳥さんは勘が良さそうだ。私はもう諦めて、
「…公園です。学校の上の。」
と白状した。すると、
「あー、なるほどね。あそこは穴場かもねー。駅と反対だもん。」
そうなんだ。確かに駅方向へ行く人ばかり見かけて、反対方向には見かけなかった。
「俺は本屋に行く途中だったんだけど、ラッキーなのかアンラッキーなのか…」
羽鳥さんはそう言って、私をじっと見て来た。
私は羽鳥さんの言った意味は理解出来なかったけど、あ。と思って、ガサゴソとカバンを探った。さっきの雑貨屋さんで見付けた物があったんだった。
「羽鳥さん、甘いもの大丈夫でしたよね?」
私が聞くと、羽鳥さんは、
「大丈夫だけど…どうしたの?」
とびっくりしてた。私は、
「じゃーん!金平糖〜」
「え?」
戸惑うみなさんをよそに私はしゃがんでカバンの上で、クリアガラスのケースに入っている金平糖を、一緒に買った小分け袋に入れた。
「知ってました?金平糖って戦争の時、携帯用食料として使われてて、兵士に癒しを与えていたらしいんです。私もさっき聞いたんですけど。」
私は入れ終わると立ち上がって、
「ラッキーとかアンラッキーとか、幸せとかって、自分で見付けて育む物だから、分けたり与えたり出来ないですけど、甘い癒しなら、今分けてあげれます!」
と私は言って、羽鳥さんに渡して、一緒にいた人達にも、みなさんにも。と言って小袋を手渡した。
「7個入れたから、ラッキーだと思います。」
と私は言うと、
「あははは!」
「妹ちゃん、面白いね!」
と羽鳥さんとみんなが笑った。私は、えっ。と思ってびっくりしていると、羽鳥さんが、
「さわちゃんの分がだいぶ減っちゃったよ。」
と笑いながら言った。私がケースを覗くと、急にケースを取られた。
「俺が後で買ってあげるよ。」
ダイキだった。私はびっくりした。
「わあ!岩井〜!」
「岩井〜彼女いーね〜」
とみんなが言うと、ダイキは、うるせーなーと言って、私に、
「もー何やってんの?」
と言ってケースを返した。私は、
「…ごめんなさい。」
と謝った。すると、
「ん?なんで謝ってんの?俺らめっちゃ癒されたのに。」
と、1人が言うと、羽鳥さんが、
「岩井はそれが嫌なんだよ。みんなにさわちゃんを知られたくないからねー」
と意地悪く言うと、
「えっ!マジで?そうなの?」
「岩井そういうタイプかー!」
とみんなが驚いた。ダイキが、
「羽鳥ーマジうるさい。」
と言って睨むと、羽鳥さんは、だって本当だもーん。と言って笑った。私はいじられてるダイキが新鮮だった。
「さわまでなんで笑ってんの。もー行くよ!」
ダイキはそう言って公園の方へ歩き出した。私は慌てて後を追った。
「さわちゃん、またねー!」
とみんなが言ってくれたので、振り向いてバイバイした。




