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つれづれ野花  作者: あぐりの
ながこい
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ながこい

はつこいの小学2年が過ぎて、私にもはっきりと、この人が好き、って認識出来るようになったのは、小学3年の中頃だった。


私の学校は田舎だったから、子供の人数は多く無かった。入学当初、1人でも少なかったら1クラスになるところだったそうだ。

そんな田舎の学校だけど、私が3年になった頃から少しずつ地域が開拓され始めて、住宅地も増えてきた。そのおかげで児童数も増え、安定の2クラス学年になっていた。


3年になると、だいたいの子とクラスが一緒になるので、小学校から仲間入りの私でも学年の子は分かるようになった。それでも6年間同じクラスにならなかった子も、私には2人いた。

1人は、地元で有名な大農家の子。もう1人は、さわちゃん。このさわちゃんはみんなから「サワン」と呼ばれていた。犬が大好きだかららしいが、私はみんなからアダ名で呼ばれた事が無かったから羨ましかった。それには理由がある。

なぜなら、サワンは、私と名前が一緒だからだ。

同じ名前なのに、サワンにはアダ名が有って、私には無い。シイもアダ名だし、みんな持っててなんだか羨ましかった。

でも、私と同じでアダ名のない子が1人いた。その子は、そのちゃん。


そのちゃんは私とは幼馴染だった。勉強も運動も私とあまり変わらなかったけど、可愛さとクールな感じが私とは違った。そのちゃんはクールキューティーな女の子だった。

そのちゃんの親は共働きだから、1年の頃は学校帰りに祖父母の家に寄る事があった。私の家の隣にあったから、その頃は良く遊んでいた。

2年になると、私とそのちゃんはクラスが別になって、私はシイと仲良くなった。そのちゃんも、家の近くのミオと同じクラスになって、あまり祖父母の家には寄らなくなった。因みにミオにもアダ名があった。今思うと、いじめじゃないかってくらい、可愛くないアダ名だった…


3年になって、またそのちゃんと同じクラスになった。シイとはクラスが離れてしまったが、帰り道は一緒だったから、放課後も休日も一緒に遊んだりして、仲の良さは変わらなかった。

シイはミオと同じクラスになった。シイとミオは幼い頃から親子で仲良かったから、同じクラスになった事の無い私もシイとそのちゃんのおかげで、自然とミオと遊べるようになった。


そして、その3年で初めて一緒のクラスになったのが、ジュンペイだった。

ジュンペイは、スポーツ万能、勉強も出来る、男子のリーダー的存在だった。ジャイアンではなくて、出木杉くんタイプで、小学生の女子が1度は好きになる男子だ。

私も、気付いた時にはジュンペイの事が好きになっていた。


そして私の好きになったジュンペイの好きな人は、そのちゃんだった。


ジュンペイとそのちゃんは、両思いだったと思う。私とそのちゃんは恋バナをする関係ではなかったから、そのちゃんがジュンペイを好きかどうかは聞いた事が無かったけど、多分ジュンペイを好きだった。

そう言えば、ファーストキスを同じ様にテラとしたシイとも、あまり恋バナをした記憶が無い。シイから、緑川を好きだとも聞いた事は無かった。勝手に私がそう感じていただけだった。でも私は、当たっていたと思う。

私とシイは、いつもどこで何して遊ぶかに夢中でいる、男子っぽい女子達だったのだ。


両思いだったジュンペイとそのちゃんだが、当時はまだ3年生なので、付き合うとか2人きりで遊ぶとか、そんな事は無くて、

「ジュンペイの好きな人はそのちゃんなんだって!」

「そのちゃんもジュンペイが好きなんだって!」

「両思いじゃ〜ん‼︎」

と、周りが盛り上がって楽しむのだった。例えるなら、テストでちょっと難しい問題があって、そのちゃんだけが正解して、みんなが、

「わー!そのちゃんすごいね!」

って褒め称えて盛り上がっている感覚に似ていると思う。

だから私達は、失恋した〜とか、ショック〜ってなる事はあまり無く、人の好きな子を知ったと言う事実に満足し、日々を楽しく過ごしていったのだった。


小学生の頃なんて、ひと月も経てば好きな人が変わるのだ。それは男女とも同じだった。誰かに好きな人を聞かれたら、

「誰々カッコいいよねー」

とか、

「誰々は優しいよね」

とか、いろいろ言っていた。

実の所私も、4年の時はジュンペイじゃなかった。だけど結局はジュンペイに落ち着いて行くのだった。


3年、4年と同じクラスだったジュンペイだが、5年、6年は離れてしまった。

1年の頃に比べれば増えてきた児童数だが、遠足のバスも1台で行けてしまうような学年だったし、クラスも隣なので、授業が違うだけで、全く会わないとか話さないとかは無かった。だからそんなに淋しくは感じてなかった。

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