うえこい 14
そして週末が来た。私は悩んだ末にチェックのシャツにセーターと膝丈の花柄スカートにして、紺の厚手のタイツを履いた。持っている服で1番落ち着いたコーディネートになったと思う。たぶん。親には部活の友達の家で勉強会と言って来た。嘘をつくのは気がひけるけど、バレちゃうのは母の性格を考えると避けたかった。
駅で待っていると、ワインレッドのコンパクトカーからダイキが降りてきた。後ろのドアを開けてくれて、先に乗せてくれた。私はドキドキしながら、
「おはようございます。ありがとうございます。」
と言うと、
「おはよう〜ごめんね、朝早くて。」
とダイキのお母さんが言った。
「あらあらまあまあ、お兄ちゃんの言った通りね。可愛らしいこと。ダイキはこういう子が好みだったのね〜」
と、運転しながらお母さんが言うと、ダイキが、
「うるさいなーもう、運転に集中してよ。」
とちょっと照れながら言った。お兄さんの時もそうだったけど、私はいつもダイキにいじられる方だったから、いじられてるダイキを見るのは新鮮な感じだった。
「さわちゃんち近いんでしょ?どの辺かしら?もう過ぎちゃった?」
「あ、えっと、そのカーブ過ぎた坂の途中の横道行くと直ぐです。」
「あらー!良く通るわよ、ここ。ここに迎えに来れば良かったわね。」
お母さんは笑って言った。
そんなこんなで無事面接は終わり、お母さんは、
「お昼用意してあるから、さわちゃんも食べてね。」
と言ってくれて、仕事に向かった。
家に入ると、私は、
「緊張した〜」
と言って、はぁ〜と深呼吸をした。ダイキはそれを見て、
「俺もなんか緊張したなー」
と言って笑った。
2人になるとホッとしたけど、違う緊張感があって、もうドキドキしちゃう。私のドキドキをよそに、ダイキはキッチンに入ってお湯を沸かして始めて、
「さわ、何か飲む?コーヒーか、お茶か、あ、紅茶もある。」
と、私に聞いた。私もキッチンに入って、
「ダイキが飲むのと一緒にする。」
と言って手伝おうとした。するとダイキが、
「先に部屋に行って待ってていいよ。」
と言った。私は、手伝うよ。と言うと、
「じゃあ次の時、お願いする。」
と言われてしまった。ちょっと不思議に思ったけど、仕方なく私はダイキの部屋で待つことにした。
部屋は変わってなくて、綺麗に片付けられていた。あそこであーされて、あーなって、と考えてしまって、うわー!となった。ふと見ると、朝勉強してたのか、もうテーブルにはダイキの勉強道具が置いてあった。見ると数学だった。でも私の知らない文字や数式が出ていて、チンプンカンプンだった。高校生はこんなのをやるのか〜と思いながら自分の準備をした。嫌いな理科からやろう。と、かなり平常心に戻った。
「お待たせ〜」
とダイキが紅茶を持って来てくれて、
「もう準備したの?早いね。」
と苦笑いっぽく言って、自分の場所に座って勉強を始めた。私は理科を1時間頑張って、お昼までの時間は英語をやった。ダイキはずっと数学をやっていたみたいだった。
お昼になったので、ダイニングに用意されていたピザを焼いて食べた。
「次は私がするね。何飲む?」
と私が言うと、
「じゃあ、ん〜眠いからコーヒーにする。」
とダイキが言って、先に部屋に行ってる。と言って出て行った。私は、はーい。と言ってお湯を沸かし始めた。
コーヒーをドリップし始めて私は、新婚ってこんな感じなのかなーと考えてしまって、恥ずかしくなり、ブンブン頭を振って、ドリップに集中した。平常心、平常心、平常心‼︎‼︎
何とか邪念を振り払ってコーヒーを入れ、部屋まで運んだ。ダイキはベッドの真ん中で寝ていた。
私はちょっと揺すって起こしてみたけど、全然起きそうになかったので、30分くらいそっとしておく事にした。私はコーヒーを飲みながら数学をして、このまったりした感じ、いいなぁ〜と思った。
だいたい30分経って、私の数学も区切りが良かったので、ダイキを起こす事にした。ちょっと揺すってみたけど反応がないので、どうしようか悩んだ。悩みながら観察していると、ダイキの手が伸びてきて、
「…キスしてくれたら起きれる。」
と言って、私の手を握った。私はびっくりして、
「起きてた?」
と聞くと、
「ん〜?寝てた。キスして起こして。」
とダイキはまた言った。私はドキドキしながら、えー?と言うと、
「こっち来て、キスして。」
とダイキは私の手をクイっと引いて言った。私は諦めてベッドに上がって、ダイキにキスをした。
私からするのは初めてで、すごくドキドキで、寝てるダイキにするので、姿勢もちょっとどうしていいか分からなくて、ものすごく緊張した。
「さわ〜俺幸せなんだけど。」
とダイキは言って、私の膝の上に頭を乗せた。私はますますドキドキしてしまった。
「ところで、なんでセーター脱いでんの?」
とダイキは膝枕のまま、私を見上げて聞いた。私は、
「ダイキが寝てたから布団掛けようと思ったんだけど、布団引っ張れなくて。仕方ないからエアコンの温度を上げたの。そしたら暑くなって。で、ダイキのお腹に掛けてみた。」
と説明した。ダイキはお腹に私のセーターがあるのに気付いて、
「あ、本当だ。ありがとう。」
と言って起き上がり、私のセーターを椅子の背に掛けた。それから、モゾモゾと布団に入って、
「さわも来て。」
と言って布団をポンポンと叩いた。私はドキドキがバクバクになって動けなかった。するとダイキは、
「はーやーく!」
と言って私を急かした。私は仕方なくモソモソと動いて布団に入った。




