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つれづれ野花  作者: あぐりの
うえこい
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うえこい 10

岩井さんは、

「コーヒーでも飲もうかー」

と言って立ち上がった。私は、手伝います。と言って、ダイニングに付いていった。お湯を沸かしてドリップしたコーヒーを部屋に運んだ。私が勉強机の上にコーヒーを置くと、岩井さんは、

「なんか新婚ぽいよね。」

と、また言って、私を後ろからギュっとした。私はドキドキバクバクした。

「さわちゃんはさー、本当に、可愛いね。」

と岩井さんが言った。私がドキドキで何も言えずにいた。


「初めはさ、何とも思ってなかったんだよ。ジンの妹かーってくらい。でもさ、カラオケで行動とか見てたら、何か小動物みたい。って思った。」

私は、私の頭の上から聞こえる岩井さんの話を、ドキドキバクバクしながら聞いた。

「トイレから出たら、小銭拾って律儀にタバコまで買ってあげてるさわちゃん見て、良い子なんだなーって思った。けど、絡まれてるじゃん。」

私は岩井さんに助けてもらったのを思い出していた。

「あれさ、俺がたまたまいたから良かったけど、危ないからね?」

「ご、ごめんなさい…」

岩井さんに言われて、本当にそうだなって私は思った。

「でもさ、怖かったのに泣くの堪えてるの見て、可愛いなって思った。」

私は顔がどんどん熱くなってきた。

「旅館に戻ってからさ、畑中はチエちゃんだったんだけど、羽鳥がさわちゃん気に入ってるって言い出して。ジンの妹とは思えねーって。俺も全く同じこと思ってた。」

そんな会話がされてたんだ!まあ、私達もしてたんだけど。

「次の日さ、偶然3人を見付けた羽鳥がバーって降りてっちゃって。見たら、また小動物っぽい動きしてた。」

頭の上で岩井さんが思い出しながら笑った。

「雪合戦したらうさぎっぽいし。」

そういえば、そう言われたのを思い出した。あの頃は、もう私はドキドキしてた。

「バスで隣になった時さ、寝てるのにもたれたのに気付く度に体戻してて。何なの、この子。って。ジンの妹じゃなきゃなーってその時本気で思った。」

岩井さんは私の肩に頭を乗せて、私の手を後ろから握った。私はバクバクでやばかった。


「もう会えないと思っていたから、告白が本当に嬉しかった。」

そして岩井さんは、ほっぺにチュッとした。私は全身に力が入って、わーってなった。

岩井さんは、私の体の向きを変えて、またギュっとした。私は恥ずかしくてバクバクした。私のバクバクが岩井さんに伝わってしまいそう。

「さわ。…って呼んでいい?」

もう爆発しそう…私は岩井さんの胸の中で、うん。と答えるのがやっとだった。

岩井さんは私をギュ、から解放して、肩に手を置いて、

「俺も名前で呼んで。」

と言って私を見た。バクバクで死にそうな私とは違って、意地悪そうな顔をしていた。

「名前で呼ばないと、今度は口にするよ?」

と言って、さん、にーい、とカウントを始めた。私は慌てて、

「だ、ダイキ…さん」

と言った。岩井さんはプッと笑ってから、

「あーあ、間に合っちゃったー」

と、残念そうに言った。


名前で呼んで。と言われて、岩井さんから名前で呼ぶに変わる事になったけど、これがまたなんとゆーか、恥ずかしくて、呼び捨てがいいのか、やっぱり「さん」は付けた方がいいのか、悩んでしまう。私がぶつぶつ言いながら悩んでいると、試しに言ってみてよ。と言われた。

「…ダイキさん。」

「んー、じゃあ次呼び捨てしてみて。」

「…ダイキ。」

と言ってみて、私は恥ずかしくなって来た。やっぱり呼び捨ては無理だー!

「も一回言って?」

岩井さんは私に言った。私は、え?と言うと、

「も一回、呼び捨てで呼んで。」

と、意地悪そうな顔で言った。私が照れているのが分かってて言ってるようだった。

「もーやだ。言わない〜」

と私がむくれると、岩井さんは笑って私をまたギュっとして、

「いじめてごめんね。」

と言った。私はドキドキしながら、うん。と言って、ちょっとだけ、手を岩井さんの背中に回してみた。けど、やっぱり恥ずかしくなって離そうとすると、

「そのままにして。」

と言われた。もうバクバクで大変だった。

「さわ、も一回、呼び捨てで呼んで。」

と岩井さんは私の耳元で言った。冗談っぽくなくて、私は余計ドキドキした。

「…ダイキ。」

岩井さんは私のほっぺにチュッとして、


「さわ、好きだよ。」


と言って、口にキスをした。

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