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つれづれ野花  作者: あぐりの
うえこい
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うえこい 8

ボーリングの翌週、私はチエちゃんと岩井さんの試合を見に行く事になった。午前中はリーグ戦で午後からは決勝トーナメントらしかった。私達は午前中の部活が終わってから見に行く事にしていた。岩井さんが、多分決勝トーナメントに出れるからと言っていたからだ。

試合会場は大会スポンサーの会社の体育館で、綺麗で広かった。人もたくさんいて、私達がウロウロしていても違和感が無かったから安心した。それでも、チエちゃんがいてくれなかったら不安だったと思う。初めは1人で来るつもりでいたけど、一緒に行きたい!と言ってくれたチエちゃんに感謝だ。

スコア表を見付けて確認すると、岩井さん達H高は1位通過をして、決勝トーナメント進出を決めていた。私達が観客席用の階段を探していると、

「あれ?あれー?」

と、知った顔があった。

「羽鳥さん!」

チエちゃんが嬉しそうに言った。そう言えば、同じ部活だったんだ。

「岩井の言ってたの本当だったんだね!冗談かと思ってた。」

羽鳥さんが意地悪っぽく言うので、私は恥ずかしくなった。でも、羽鳥さんに話してくれてたんだーと思うと、なんだか嬉しくなった。

「さわちゃん照れてるー!」

と羽鳥さんは笑って、

「岩井はキャプテンだから、今トーナメントの抽選に行ってるんだよねー来たこと話しといてあげるよ。」

と言ってくれた。


ハンドボールの試合を見たのは初めてだったから、ルールは良く分からなかったけど、ボールの威力の凄さに圧倒されてしまった。岩井さんはもちろんカッコ良くて、私のハートはヤラレっぱなしだったのだが、隣で行われていた女子の試合ですら、怖いと思ってしまった。スキーの時の雪合戦で羽鳥さんに雪玉を投げられたのを思い出して、上手く避けれて助かった。と、改めて思った。

岩井さん達は一勝したけど、次の試合で負けてしまった。私はチエちゃんに、

「帰ろっか。」

と言うと、

「え?会ってかないの?」

とチエちゃんは何故か残念そうに言った。

「うーん、なんか、忙しそう…」

と言って上から眺めていると、

「さーわちゃん。」

と、呼ばれて見ると、羽鳥さんがいた。

「岩井から伝言。駅の近くのMで待ってて。だって。」

私がびっくりしていると、チエちゃんが、

「あ、お疲れ様でしたー!羽鳥さんも行きますか?」

と聞いた。

「俺?あー、そうだなぁ、面白そうだから行こうかな。」

「行きましょー!」

とテンション上がりまくりのチエちゃんに引っ張られて、私はMに行く事になった。


Mは全国チェーンのファストフード店で、試合帰りの高校生がたくさんいた。岩井さん達が来るのを2人で待っている時に、私はちょっと気になっている事をチエちゃんに聞いてみた。

「チエちゃん、もしかして畑中さんと何かあったの?」

チエちゃんはちょっとびっくりして、

「え、なんで?」

と聞いた。

「うーん、なんか…違ったらごめんだけど…羽鳥さんが好きなの?」

チエちゃんはちょっと黙ってから、

「やっぱりバレたかー」

と言った。

チエちゃんは、スキーの時から畑中さんと仲良くしていたけど、話が面白い羽鳥さんも気になっていたらしい。畑中さんと付き合うことになって嬉しかったけど、束縛発言がちょこちょこあったり、手の早さが気になったりで、熱が冷めてきたようだった。そんな時、私が試合を見に行くと聞いて、羽鳥さんにまた会いたくなったそうだ。

「別にどうこうしたい訳じゃ無いんだけど、また会って話したいなって思って。」

チエちゃん達は楽しそうに見えたけど、分からないものだなーと私は思った。


窓から見ていると、H高の人達が見えた。岩井さんと羽鳥さんが他の人達と別れる時、羽鳥さんが何か言ったようで、みんなでゾロゾロとMに入って来た。

私とチエちゃんがびっくりしていると、

「岩井の彼女?」

と聞かれて、

「本当にジンの妹?」

「似てないね〜」

「可愛いねー!名前何ちゃん?」

「岩井ずるいなー!」

などと散々言われ戸惑っていると、

「うるさいなー、もう帰れって。お前ら絶対ジンに言うなよー」

と、岩井さんが言った。私も、是非お願いします!と思った。

みんなが駅に向かって行くのを見て、

「羽鳥がさー彼女が待ってるとか言うから!しかも、ジンの妹ってまでバラすし。」

と言いながら岩井さんは私の隣に座った。私はちょっとドキドキしながら、

「いっぱい来たからびっくりした。ね。」

とチエちゃんに言った。

「うん、いろいろ言われてたね(笑)」

チエちゃんは楽しそうに言った。

「も〜本当にごめんね。」

と岩井さんは言ってくれた。すると、

「まぁまぁ、これでも食べて!機嫌直して。」

と、羽鳥さんがポテトやバーガーを買って来て、チエちゃんの隣に座った。チエちゃんは嬉しそうだった。

「幸せは分け合わないと!ねー?」

と羽鳥さんがチエちゃんに言うと、チエちゃんは嬉しそうに、ねー!と言って笑った。

「今日のトーナメントの1試合目だってさ、いつもなら五分五分な相手なんだよ。でもさー岩井のゴール率がすごくて、初めて圧勝したもんね!」

と羽鳥さんがポテトを食べながら言った。チエちゃんが、そうだったんだ〜と言うと、

「彼女が見てくれてると違うんだねー!」

と、羽鳥節が止まらない。私は恥ずかしくなって来た。

「も〜羽鳥うっさい!」

と岩井さんは言って、羽鳥さんをゲシゲシ蹴っていた。チエちゃんは楽しそうに笑っていた。


駅までの帰り道、チエちゃんが気を遣って?羽鳥さんと先に歩いてくれたので、私は岩井さんと2人で歩けた。ドキドキしたけど、嬉しかった。

「次はいつ会えますか?」

と私は岩井さんに聞いた。私の敬語癖はなかなか治らない。でもだいぶ減って来てはいた。

私達はあまり電話をしたくなかった。兄がいるし、私も家族にはあまり知られたく無いタイプだったからだ。だから別れ際に、次会う約束をすることにしていた。

「うーん、さわちゃんってテストいつから?」

「えーと、H高と同じ週だった気がする…」

そうだった。テストがもうすぐあったんだったー…しばらく会えないかなぁと思っていると、

「じゃあ、来週は一緒にテスト勉強する?」

と岩井さんが言ってくれた。私は嬉しくなって、

「する!」

と言うと、岩井さんは笑って、

「可愛いねぇ。」

と言った。私はなんだか恥ずかしくなった。

「どこでしよっか。うーん、あ、うちに来る?」

岩井さんち⁈私は急にドキドキし出した。

「親は仕事で居ないから気を遣わなくていいし、そうしよっか!」

親が居ないのもなんか、緊張するっ!いても緊張するけどっ!

「10時とかどう?兄貴が大学行く前なら車出してくれるから、駅に迎えに行く。」

もう、決定事項みたいになってるし!うわー緊張するー!と私は思いながらも、

「…了解です。」

と答えた。

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