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つれづれ野花  作者: あぐりの
うえこい
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うえこい 6

スキー旅行から帰って、お正月も過ぎ、週明けはもう始業式となった土曜日。午前中部活で一緒だったチエちゃんに、私は呼び出された。待ち合わせは中学校近くにある図書館だった。

図書館に着くと、チエちゃんが外に出て来た。

「さわちゃーん!」

チエちゃんは近寄ってくれて、

「受験生がたくさんで話が出来そうにないから、こっちの公園にしよう。寒いけど、いい?」

と、私に聞いた。私は、

「そーなんだね。あっち行こうか。」

と言って、公園へ向かった。

公園は木で囲まれていたから、思った程寒くはなかった。私達はベンチに座った。座るや否や、チエちゃんは、

「報告があるんだけど!」

と、興奮気味に言ってきた。私はびっくりして、どーしたの?と聞いた。

「畑中さんと〜付き合うことになったの!」

「えぇー‼︎本当に⁇」

私はまたびっくりした。2人はスキー旅行の時から仲よさそうだったけど、そんな事になっているとは思ってなかった。

チエちゃんが興奮気味に話してくれた事によると、付き合うことになったのは、昨日だった。スキーから戻って、チエちゃんは畑中さんと電話を何回かしていたらしい。そして昨日、2人で待ち合わせて会った時、畑中さんから、

「付き合おう。」

と言われたそうだ。

話を聞いて私も嬉しくなって、

「チエちゃん良かったね〜‼︎」

と言った。

「それでね、あのね、キスもしちゃったー‼︎」

「えぇー‼︎‼︎早くない?もう⁇」

「だよね〜高校生ってそんな感じなのかなぁ〜」

とは言え2人は、実は帰りのバスで、ほっぺにチューとかしていた仲だったのだ。そりゃぁ、もうしちゃうかも知れないね〜と思った。

「はぁ〜すごいねぇ〜」

と私が言うと、

「でね、さわちゃんさ、岩井さんを良いと思ってるでしょ?」

私はチエちゃんにスキーでの出来事をいろいろ話していた。

「岩井さんに告白してみない⁇」

とチエちゃんは私に言ってきた。私は、

「えぇー‼︎」

とびっくりした。

「私はうまくいくと思うのー。そしたらさ、4人で遊べたりして楽しいと思うんだよね〜」

とチエちゃんは言った。どうやら、畑中さんと付き合いたいけど、2人で会って関係が早く進む事に抵抗があるようだった。

私は初めは拒否していたけど、チエちゃんの押しの強さと、振られても会う事があるわけじゃないからいいかぁ…と言う考えから、告白することになってしまった。


家に帰って、兄の名簿から岩井さんの電話番号を調べて、公衆電話を探した。家には親がいたからだ。当時はまだ黒電話だったので、電話を部屋に移動させて話すのは無理だった。

私は適当な公衆電話を探しながら、どう話そうか考えていた。いざ告白するとなると、緊張が半端なかった。私が岩井さんを好きなのは間違いない。と思う。あんな風にされたら、多分誰でも好きになって行くと思う。

だけど、告白して付き合いたいとかまでは正直考えてなくて、この押し切られた感満載の急な展開に戸惑ってもいた。けど、確かに、次会う機会なんて多分無いから、断られてもちょっとショックなだけで済みそうだな、と言う考えに傾いてもいた。


私は、家からちょっと離れた公園の横の公衆電話に決めて、流れやセリフを何回か心の中で練習して、電話に向かった。番号をプッシュする手は震えていた。コール音が鳴る度に、緊張はマックスになっていた。


「はい、岩井です。」

男の人が出た。私は緊張を抑えつつ、

「さわと言いますが、ダイキさん、いらっしゃいますか?」

と言うと、

「はい、ちょっと待ってねー」

と言われ、電話の向こうで、ダイキー電話〜という声が聞こえてから、メロディーが流れた。因みに岩井さんは、名前をダイキと言った。

私はドキドキでメロディーを聞きながら待っていた。

「はい、もしもーし。」

と岩井さんが出た。私の緊張はまたマックスになって、

「さわです。あの…分かりますか?」

「あぁ、分かるよ。ジンのさわちゃんでしょ?どうしたの?」

私は緊張でバクバクして、考えた流れやセリフが飛んでしまった。もういいや、言っちゃえ!と思って、

「あの!私、好きになっちゃったんです!つ、付き合ってもらえませんか⁈」

と言った。電話の向こうで戸惑っている感じが分かって、この空気が辛かった。

「えっ、そうなの?…いいよ。」

と、岩井さんが言った。私は緊張でちょっと理解出来なくて、

「え、えっと、いいって…いいの?」

と、意味不明な返事をしてしまい、電話口からぷっと笑うのが聞こえて、

「いいよ。ありがとう。嬉しいよ。」

と言ってくれた。

私は緊張がバーンと弾けて、ドキドキバクバクの心臓になった。

電話をその後どう切ったかも忘れたが、とりあえず、チエちゃんにこの事を報告する為に、再び受話器を取った。私からの報告を待っていたチエちゃんはすぐに電話に出てくれて、

「チエちゃ〜ん、いいって言われた〜‼︎」

と報告すると、

「良かったね‼︎やったねー‼︎」

と言って喜んでくれた。

「畑中さんにも連絡しなくっちゃー!」

とチエちゃんは言って、私達は電話を切った。

私は緊張と興奮でドキドキしていたので、公園のベンチで休んでから、家に帰った。

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