うえこい 3
最終日は、チェックアウトの準備を済ませてからスキーへ出掛けた。帰りのバスの時刻は7時だったので、夕方まで滑れる予定だ。
私はチエちゃんとかなちゃんと3人で、昨日までとは違う、中級コースに行ってみることにした。初級コースのリフトに乗って上まで行き、中級コースのリフトに乗る。今までとは違う景色にちょっとドキドキした。
「結構傾斜あるね。」
「そうだね、ゆっくり滑ろうね。」
と、一緒にリフトに座ったチエちゃんと話しながら乗っていると、
「あれ?畑中さんじゃない?」
とチエちゃんが指差した。私には見ても良く分からなかった。
「昨日、ウェアの話してたんだー」
とチエちゃんは嬉しそうに話した。
「なんか、楽しそうだったよね、チエちゃんと畑中さん。」
私がちょっと意地悪っぽく言うと、
「えへへ〜」
とチエちゃんは照れた。私もなんだか楽しくなってきた。
リフトを降りてかなちゃんと合流して、3人でどう滑るか話した。上級者コースから降りて来る人の邪魔にならないように、真ん中より隅側を滑ることにした。
このスキー場は3面あって、それぞれ上から上級、中級、一般コースとなっていた。上級コースのリフトで1番上まで行くと、3面のどのコースから滑るか選べる。中級コースはそれぞれ独立していて行き来出来ない様に樹々があるのだが、1番下の一般コースでまた3面合流する。
私達は昨日までは一般コースで滑っていたので、1番デコボコの少ない中級コースを選んだ。父や兄達は1番難しいコースを選んでいたので、全然会わなかった。
この中級コースは私達には楽しくて、何回も滑っていた。お昼を食べた後は、ちょっと難しい中級コースに行ってみようとなった。リフトに乗りながら見ていると、やっぱりちょっとデコボコが多くて、転んでる人がたくさんいた。
実際滑っていると、やっぱり難しくて、3人とも転びまくってしまった。
「やっぱり難しいねー」
「ホント、転び疲れちゃったよ〜」
「ちょっと休んで、もう一回行く?」
私達はリフト脇の木の近くに板を立てて、雪だるま作りをし始めた。かなちゃんが大きな雪玉を作ってくれたので、私は頭になる雪玉を作ることにした。チエちゃんはかなちゃんと、顔のパーツを探しに行った。雪玉は結構大変で、かなちゃんはよくあんなに大きな雪玉を作れたなーと思いながら頑張っていると、
「雪だるまー?」
と、後ろから声が聞こえた。私は誰か分からず、⁇となっていると、
「俺俺〜」
と、ゴーグル外して、羽鳥さんが笑いながら近づいてきた。
「上級コースを滑ってるんじゃないんですか?」
と、私が聞くと、
「流石に疲れて来ちゃって。岩井と畑中も降りて来るよーほら。」
と見ると、こっちの方に滑って来る人が2人見えた。ブルーのウェアはさっきチエちゃんが言ってた人っぽいから、畑中さんらしかった。
降りて来た2人も近づいてきて、
「羽鳥、ナンパしてんのかと思った。」
と、岩井さんが言うと、
「ナンパなんかしねーよ!」
と、羽鳥さんが笑って答えた。畑中さんも来て、
「さわちゃん1人だけ?チエちゃんとかなちゃんは?」
と、私に聞いた。
「今奥で顔パーツ探しに行ってます。」
と答えると、雪玉を見て、
「あ、雪だるまね。」
と、笑った。
小学時代から同級生とかは「おまえ」呼ばわりが普通で、名前を呼ばれても呼び捨てばかりだったけど、兄の友達はちゃん付けで呼んでくれた。最も、初めは「妹ちゃん」だったのだけど、昨日から「さわちゃん」になった。仲良くなれたようで、ちょっと嬉しかった。
畑中さんが、チエちゃんとかなちゃんの様子を見に行ってくれた。その間、私達3人は頭の雪玉を胴体に乗せようと頑張っていた。とは言え、羽鳥さんと岩井さんは背が高いので、背の低い私はバランスが取れなくて、応援していただけだったけど。
2人が頑張って乗せてくれてしばらくしたら、顔パーツ組が帰って来た。みんなで雪だるまを完成させた。すると羽鳥さんが、
「せっかくだから、雪合戦しようよ!」
と言い出した。せっかくってなんだ?と言う岩井さんのツッコミが入りつつも、チーム分けをして雪合戦をする事になった。羽鳥・チエ・かなチームと、畑中・岩井・私チームに決まった。
人の来ない木の辺りに移動して、陣地を決め、相手の陣地にある枝を倒した方が勝ちと決まった。5分間雪玉作りと作戦会議をして、雪合戦が始まった。
正直、想像していた雪合戦と違って、かなり白熱した戦いになった。岩井さんと羽鳥さんはハンドボール部なので、投げる雪玉のスピードが速くて恐ろしかった。もちろん、女子には向けられる事は無かったが、流れ玉が当たないように気をつけた。私の任務は、相手の陣地にある枝を倒す事だった。
見つからないように徐々に相手陣地に近付き、もう少し、と言う所で羽鳥さんに見つかってしまった。
「かなちゃん!そこにさわちゃんが‼︎」
と言って、私に向けて雪玉を投げて、あっ!と言った。岩井さんに投げていた様な玉が私に飛んできたのだ。私は咄嗟にしゃがんで回避した。頭の上で、ヒュンッと音がして、バシッと木に当たる音が後から聞こえた。
「うわー!さわちゃんごめんっ!」
と謝る羽鳥さんに、岩井さんと畑中さんの集中攻撃が始まった。かなちゃんとチエちゃんは、羽鳥さんの援護をしたので、私は悠々と枝を倒すのに成功した。
雪合戦は終わったけど、何となくみんなで雪の投げ合いが続いていて、みんな雪だらけになった。雪を払っていると、
「羽鳥の玉、大丈夫だった?」
と岩井さんが心配してくれた。
「なんとか避けれたから大丈夫でした。」
と私が答えると、
「なんかうさぎみたいだった。」
と岩井さんは言って、
「頭にまだ雪ついてるよ。」
と言いながら、私の頭の雪を払ってくれた。私は、ドキドキしてしまった。




