ながこい 22
ネットはかなりの絡まり具合だった。1時間くらいかけて、やっと解けた時には、もう7時になっていた。私達の親には先生から連絡が行っていて、帰りは先生が車で送ってくれる事になった。
全員一気には遅れないので、家が遠い3人から送る事になった。カノとユーヤとタツヤだった。私はレンとユージンと、駐車場のある体育館の入り口で、3人で座って先生が戻って来るのを待っていた。
ユージンが、カノとレンが買い出しに行っている時の話をし出した。レンが私を好きだと言う話だ。
ユージンがそう思うきっかけになった出来事があったらしい。
それは、来賓配布用のプログラムに間違いがあって、1枚1枚修正のシールを貼ると言う超絶面倒な作業だった。タツヤとレンは別の作業をしていて、終わってから作業を手伝ってくれた。タツヤはユージンとユーヤの、レンは私とカノのシールを剥がしてくれていた。
「カノにはシールを並べてたんだけど、こいつには手渡しの方が多かったよね。」
ユージンはそう言って、
「それ見た時、レンはこいつが好きなんだなって思った。」
と、ドヤ顔でレンの反応を見た。レンは、
「そうだっけ?」
と笑ってユージンの話をかわしていた。
私はカノとの違いは気付いて無かった。そんな余裕がなかったのだ。ユージンはレンに、
「本人前にして言えなかったらさ、あっちのトイレで2人で話そうよ。」
と誘った。レンは、
「行きたいなら行ってこいよ。ユージンは1人で大丈夫だろ。」
と言った。女の私をこんな場所で1人には出来ないって事だろう。レンは優しい。でも、私にだけじゃないし、こう言う優しさがあるから女子にモテてるんだと思う。
ユージンはレンが動こうとしないので渋々1人でトイレに向った。本当にトイレに行きたかったようだ。
ユージンがトイレに無事到着するのを見届けながら、
「レンは優しいよねー」
と、私が言うと、レンは、普通だよ。と言った。ちょっと照れてるように見えた。そして、
「おまえもユージンに探られてんの?」
と聞いてきた。私は、うん。と言って、
「私、分かりにくいんだって。」
と苦笑いした。レンは、ははっ。と笑った。そして、ふーっと息を吐いてから、
「おまえさ、ジュンペイに何か言われた?」
と聞いて来た。私は、
「えっ?ジュンペイ?」
と聞き返した。いきなりジュンペイの名前を出されて、びっくりした。そんな私を見てレンは、
「何か言われてるよね?」
と、珍しく意地悪っぽく笑った。私は顔が熱くなるのが分かった。
「何言われてるのか、気になるとこだけど…教えてくれないよね。」
レンとはクラス委員とか役員でも2人きりになってからかわれたりはするけど、こんな風に探られてる感が強いのは今まで無くて、私は動揺した。
「好き、とか、言われた?…当たりだね。」
レンは私の反応を見てそう言った。
「オレもさ、ユージンと一緒で、おまえの気持ちって良く分からなかったんだよね。今は分かりやすいけど。」
私は顔を見られない様に手で隠して、
「レン、いつもと違い過ぎない?探偵みたい〜」
ちょっと反撃してみた。そんな私を見てレンはちょっと笑って、
「オレさー、リュウヘイやジュンペイからライバル視されてんだよね。ま、リュウヘイはどうでもいいんだけど。」
レンはユージンの様子を見ながら、話を続けた。
「初めはさ、ジュンペイはリュウヘイの為なのかなって思ってたんだよね。」
ユージンは無事トイレに到着していた。
「ジュンペイはそのだと思ってたし。オレらもペアに見られるけど。」
レンは私を見て言った。私はドキっとして、目を逸らしてしまった。今日のレンの視線は、何もかも見透かされてしまいそうだった。
「だけど、プールの時に違うって分かって、戻ってきたジュンペイに聞いたんだよね。おまえの事好きなの?って。」
私は、あの時、ジュンペイとレンが話してるのを思い出した。
「そしたら、おまえには負けねぇって、戦線布告された。」
そんな話してたんだ。私は嬉しいような、恥ずかしいような気分だった。
「オレさー、ジュンペイはヤバイなって思って。おまえはどうなんだろうって気にして見てたけど、ジュンペイと話してるのって、ほとんど無くて分かんなかった。」
レンはちょっと笑って、
「おまえは、誰が好きなの?」
と言って私を見た。私はまたドキッとしてしまった。
ユージンがトイレを終えて小走りにこっちに来るのが見えた。車のライトも見えてきた。先生の車っぽかった。それをチラッと見たレンは、
「オレも、おまえが好きだから。考えといて。」
と言って、立ち上がった。私はドキドキした。聞き間違いかと思うくらい、サラッとした告白だった。
ユージンは、私達の様子から何やら感じとっていた様で、先生の車の中で上機嫌で、うるさいなぁと、先生に言われていた。
明日会ったらどう言おう、と考えていたけど、運動会が終わるまで、忙し過ぎて、2人きりで会話する時間は無かった。レンの態度が変わらずだったのをいいことに、私は特に触れないでいた。




