ながこい 20
そもそも、あの日いたメンバー以外、私とジュンペイの事もシイと緑川の事も、みんな知らないのだ。隠してるとかではないけど、恥ずかしくて、聞かれもしないそんな事言えないだけだった。私とシイでさえ、あの日の帰り以降、相変わらず恋バナはしていない。だから、ミオでさえ知らない。
私もジュンペイも、みんなと廊下で話す事はあっても、2人きりで話すなんて事は無かった。シイと緑川はクラスも一緒で席も近かったから、羨ましいくらい変わらず話しているけれど。
そんなわけで、私は今日の引き継ぎを楽しみにしていたのだけど、ジュンペイはレンと私が近くにいる事で、機嫌が良く無かったようだった。
解散して、同じ方向のそのちゃんとカノと帰ろうとしていたら、
「先生が呼んでるよ。」
と言って、タツヤが私に声をかけてきた。私は、えー?と面倒くさそうに言って、そのちゃん達に先に帰ってもらい、上靴に履き替えて、生徒会室に戻った。
4時過ぎだったが、まだちょっと夏が残っているので、生徒会室は電気を点けなくても大丈夫な明るさだった。
「先生〜?」
私はちょっと薄暗い生徒会室を見渡した。すると奥の机に、先生の代わりにジュンペイがいた。私はびっくりした。
「ど、どうしたの⁇ジュンペイも呼ばれたの?」
と聞くと、ジュンペイは、はぁ〜と溜め息をついて、
「本当に、おまえはさ、成績いいくせに、こーゆー事鈍感だよね。」
と、軽く笑った。
「オレがタツヤに頼んで、呼んできてもらったんだよ。」
そう言って、隣に座るように手招きした。私はカバンを机に置いて隣に座った。隣はドキドキする。ジュンペイは机に肘をついて、私を見て来た。私は余計ドキドキして、恥ずかしくて、ジュンペイの方が見れなかった。
「おまえさ、まだオレの事好きでいてくれてる?」
ストレートに言われて、私はびっくりして、思わずジュンペイを見てしまった。ジュンペイの顔は笑ってなくて、ちょっと赤かった。私はドキドキした。
「…な、何で?」
「いいから、答えてよ。」
ジュンペイはやっぱり何かおかしい。タツヤの言った、レンとの事が原因なのかな。そう思った私は恥ずかしさを頑張って堪えて、
「変わらないよ。今も、好き。」
と言った。言った後、やっぱり恥ずかしくて、顔をカバンに埋めた。
「本当に?レンじゃなくて?」
やっぱりレンだった。私は、埋めたまま、うん、と頷いた。
「オレは、おまえが好き過ぎて、ヤバイ。」
私は嬉しさと恥ずかしさで、顔をあげれなかった。あの夏の日以来の、バクバクだ。
「今日、おまえと一緒にいれると思って楽しみだったんだけど、レンが近くにい過ぎて、辛かった。」
「それ、タツヤに言われた。…ごめんなさい。」
私は姿勢を戻して、チラッとジュンペイを見た。ジュンペイはまだ私を見ていて目が合うと、笑って、そっか、と言った。
「実はさ、そのがおまえに副会長をお願いするって聞いてたんだ。その後さ、レンも副会長って聞いて。えっ?ってなって。立候補はすると思ってたけど、会長だと思ってたんだよ、オレ。」
私も、って言うか、多分先生達も含めてみんな、それは驚いていたと思う。正直に言うと、そのちゃんには頼まれたけど、レンが立候補するだろうから、私は何となく、立候補したくないなって思っていたのだ。でも結局他に誰もいなくて、立候補するって羽目になったけど。
「そしたらさ、タツヤが、オレが会長になってガードしてやるよって言い出して。」
そうだったんだ。それも、みんな驚いていた。まさかタツヤが会長に立候補するとはって。そして、対抗馬がいないまま当選となった。
「朝会とか本当に辛過ぎるんだけど。」
ジュンペイは椅子にもたれながら言った。
生徒会役員は朝会や行事などの司会運営をする為に、前で並ぶ事になっていて、順番は会長、副会長男女、書記男女、会計と、何となくいつもそうなっていた。
私も前期はジュンペイの好きな人を知らなかったから、そのちゃんと隣で並んでいるのを見る度に辛かったのを思い出した。クラス委員は列の先頭に並ぶから、嫌でも目に入ってしまうのだ。
「私はそのちゃんとサワンが羨ましかったよ。」
私がそう言うと、ジュンペイは、
「オレは、おまえとレンが隣に並んでるのを1年間見る事になるんだけど。」
と言って不貞腐れた。
「なんか…ごめんなさい。」
と、私は居た堪れなくなって謝った。
すると、ジュンペイは私の方を向いて座り直し、私をじっと見て来た。私はバクバクが増した。
「オレ、おまえをレンに取られたくない。」
と言って、私の手を握ってきた。
私はドキドキしながらも、ジュンペイを安心させたくて、
「私はジュンペイが好きだよ。」
と頑張って言うと、ジュンペイは嬉しそうに、
「本当に?」
と聞いて来た。
「うん。」
私は恥ずかし過ぎて、そう言うのが精一杯だった。
するとジュンペイは、
「こっち向いて、目、閉じて。」
と言った。
私はどう言う意味か分かって、バクバクがヤバかった。恥ずかしくてギュッと目を閉じて下を向くと、ジュンペイがちょっと笑って、
「それじゃ出来ないよ。」
と言った。私はもう恥ずかしくて恥ずかしくてバクバクでバクバクで、
「恥ずかしいんだもん…」
と言うと、
「オレも。だけど、今日はもう、無理。」
とジュンペイは言った。そして、
「だめ?」
と聞いた。
私はもう死にそうだった。
「だ、だめじゃ、ないけど…」
私がそう言うと、ジュンペイは握ってない、もう片方の手で私の顔をちょっとあげて、
チュッと、キスをした。




