表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
つれづれ野花  作者: あぐりの
らすこい
189/190

らすこい26

食べ終わると、

「もう、時間遅いし、送るね。」

とキーチは言った。私は本当はまだ一緒に居たかったけど、キーチはこれから帰らないといけないって思うと、無理は言えなかった。

私はキーチに差し出された手を握ると、

「うん。」

と言って、立ち上がった。

もし、しんちゃんだったら、ここでしちゃいそうだなぁって考えてしまった。キーチはそんなタイプじゃ無さそうだからしないと思う。って、別にしたいわけじゃないってゆーか、ここではしたくないってだけで、部屋とかホテルとかなら全然ってゆーか…

って、したいからキーチとあってる訳じゃ無いんだけど、いやぁ、今ちょっといい雰囲気だったからさ、もう帰るって言うのが寂しいってゆーね。そう言う事です。

それに…未だに言われてないし。

こんなサプライズしてくれたから、期待しちゃうんだけど、未だに言われてない。

嫌われては無いと思うし、むしろ好かれてると思うんだよねー。だって、しんちゃんの時は付き合うって気持ちにならなかったけど、キーチとは付き合いたいって思うんだもん。私の経験上の話だけど、私、相手に気持ちがないと付き合いたいって思えないんだよね。だから、多分、キーチには好かれてると思うんだ。

だけど、もし、このまま言われなかったら、私は今日を最後にするって決めている。

だからこそ、もうちょっと一緒に居たかった。


帰り道、キーチの好きな音楽が流れる車の中でも、普通だった。この普通も、穏やかで好きだからいいんだけどね。

待ち合わせした場所まで送ってもらうと、やっぱり離れ難くて、ちょっとだけ、会話を頑張って引き延ばしてみた。

だけど、もうキッパリと離れないと。

「…今日はありがとう。嬉しかった。」

私はキーチに笑顔で言った。今日はやっぱり、言えないけど、明日には、さよならを言おう。

「じゃあ。」

私はそう言って、ドアを開けた。


「ま、待って!」

ドアを開けた手とは逆の手を、掴まれた。私は半分浮いた腰を、ボフンっとまた降ろす事になった。びっくりして、キーチの方を見ると、

「好きなんだ。さわちゃんの事。」

とキーチは言った。初めて、キーチから聞いた、好きだった。

「だから、付き合って欲しい。」


ずっと欲しかった言葉をを聞けて、

「うん!」

私は即答だった。もし言ってくれたら、ちょっとは焦らそうとか思ってたのに、嬉し過ぎて、キーチも戸惑う即答だった。

「…あ、うん。良かった。」

キーチはしばらく戸惑っていたけど、喜んでくれた。そして私に、キスをした。


その後、キーチは4月から就職でさらに遠くへ住む事になった。女性不信もだけど、この事もあったから、なかなか付き合ってって言えなかったらしい。

私と出会う前に就職が決まっていたし、勤務先も予想していたから、付き合うなら遠距離を楽しんでくれる人がいいと思っていた所に、プチ遠距離のヨシくんから、

「彼女の友達にいい感じの子がいる。」

と言って、あの時の合コンに誘われたらしかった。カノは何回か見かけた事があったけど、悪い印象ではなかったから、保留にしていたら、勝手に会場にされたと言っていた。

私の第一印象は、

「弱そう、大人しい、ちょっと変わってる。」

だったそうだ。話したりしてるうちに、

「可愛いな。」

って変わって来たけど、彼氏もいそうだし、様子見する事にしたらしかった。

別れたって聞いた時、

「遠距離はやっぱり厳しいのか。」

と思って諦めようとしたけど、別れた理由が距離じゃなかったから、頑張ろうと思ってくれたみたいだった。

それで、私の誕生日まで続いていたら、告白しようって決めていたそうだ。


「私は、今日言われなかったら、さよならしようと思ってたよ。」

私が暴露すると、

「危なかったー!」

と、キーチは言った。

そして、

「これからも、よろしくね。」

と言って、私を抱き寄せた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ