らすこい23
それから何か変わったかと言うと、キーチとのメール回数が増えたのと、たまに電話もするよーになった。まぁ電話は、キーチが酔っ払ってかけて来るって感じだったけど。
ただ、しんちゃんとも変わらずだったから、私は本当にどーにかしなくちゃいけないと悩んでいた。
とは言え、実は気持ちは決まっていた。
ただ、私が離れるのが辛過ぎて、ズルズルしていただけだった。
学祭のあった三連休最終日、しんちゃんは予定より早く帰って来た。そして私は駅まで迎えに行って、そのままホテルに直行させられた。
キーチと4回もしてたからちょっと気まずかったけど、しんちゃんってオモチャとか使いまくりだし、言葉攻めとかも凄くて、全然違う行為をしてる気がする。特にこの日は、学祭に行ってた事がバレてしまっていたから、いつも以上に虐められて、凄かった。
しんちゃんはいつも最後に、ギュッとしてキスをたくさんして、
「めっちゃ好き。」
と言ってくれる。私が嫌と言った事はしないでくれるから、行為自体は私はむしろ興奮しか無いし、喜んでいたと思う。いや、喜んでます。だって、しんちゃんとしか、こんな事しないんだもん。
でも、多分だけど、私達はお互いそれ以上の気持ちが無いから、幸せな気持ちになるかって言われたら、ちょっと違う。
しんちゃんとは、相性が良いんだと思う。
だからこそ、私はしんちゃんと離れる事が、なかなか出来ないでいた。
私がしんちゃんと離れる決意をした事をハナエちゃんに伝えると、
「じゃあ、さわはキーチと付き合うって決めたんだ。」
と言われた。
「え?いやーそーゆー訳じゃ無いけど〜」
「他にも誰かいるって事⁈」
「いやいや、そーじゃなくて。」
しんちゃんと離れる事にしたのはキーチの存在があるのは事実なんだけど、キーチと付き合うからって訳では無かった。そもそもキーチとはしたけど、好きとか付き合うとか言われてないし。まだそんな段階にない気もする。
じゃあ何故かってゆーと、私がしんちゃんとするのにハマり過ぎて来たから。もう手遅れ感もあるんだけど、今ならまだ離れれる気もしてる。キーチとの時間が増えて来た今なら、しんちゃんとの時間が無くなっても困らないと思った。酷い女なんだけどさ。でも、それくらい、しんちゃんとするのにハマって来てるのだ。
「じゃあ、しんちゃんと付き合えばいいじゃん。」
「いやー、しんちゃんが私に執着してるのも、私と同じ理由な気がするもん。」
「セフレだからね。」
「そうそう。しんちゃんに気持ちが無いから、私も付き合いたいとかは思えない。」
「なるほどねーでも揉めそうだね。」
ハナエちゃんは嬉しそうに言ったけど、私はそれが心配でもあった。それもあって、なかなか言い出せないでいたのだ。
でも、それは急に訪れた。
金曜の夜、バイト終わりにしんちゃんから呼び出された。いつも以上に激しくて、私何かやらかしたっけ?と思っていたら、
「さわちゃん、今日でもう会えなくなる。」
と言われた。私は驚き過ぎて、言葉が出て来なかった。
しんちゃんは異動で、実家の近くの研究所に配属が決まったのだ。
しんちゃんの会社は、本社で3ヶ月研修を受けた後、希望の部署などに配属されるらしかった。だから、本当は8月に異動の話があったらしい。ハセくんは近くの部署だけど、ミツくんは営業所を転々とするらしかった。
しんちゃんは、配属先の都合もあって、もう少し本社で研修を積むと言う異例の事態になり、今回の異動になったそうだ。
「俺さ、さわちゃんとの時間めっちゃ好きだったから、正直辛くて一緒に来て欲しいくらいなんだけど、まだ仕事覚えるので必死だし。」
「結局ずっと言えないまま今日まで来ちゃったよ。」
「今まで俺のわがまま付き合ってくれて、ありがとね。」
しんちゃんは、固まったままの私の頭をポンポンとしてから、
「ごめん。」
と言った。
自分から言うつもりでいたくせに、しんちゃんから言われるなんて思って無かったから衝撃だった。
しんちゃんから気持ちを感じなかったのは、本命…も居るかもしれないけど、異動の事があったからだったんだ。
なんか…力抜けて来た…