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つれづれ野花  作者: あぐりの
らすこい
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らすこい18

「何それ。めっちゃ清き仲じゃん。」

花火の報告をハナエちゃんにしたら、笑って言われた。

「だよねー。別にいいんだけどさ。なんか、昔の自分を思い出した気がするし。」

「中学生くらいの頃ね。」

「まーね。でもどちらかと言うと、ダイスケさんとの事を思い出してた。」

「あー、あのイタ電の人。」

「そうそう。」

キーチの気持ちがどんなものかは分からないけど、なんだろーなぁ、大切にされてる気がする。私の状況とか気にした上で、距離を詰めてくれてるのを感じるんだよね。

しんちゃんは、自分の気持ちを伝えた上で、私にどうしたいか聞いてくれるんだけど、それって私にとっては答え決まっちゃってるんだよね。よっぽどじゃなければ、しんちゃんの意見に逆らわない。逆らえないじゃ無くて、逆らう理由が無いし、望んでる事をしてあげたい。って事。

だけど、ダイスケさんとかキーチは、私の事を考えた上で行動してくれる。だから、ちょっと物足りない時もある。そんな時は、私が頑張らないといけなくて、勇気が必要になるんだよね。それが苦手なんだよね、私。

「だから今回のキーチとの事も物足りなくて、しんちゃんとハッスルしたんだ?」

「ハッスルって。」

私は笑ったけど、否定はしなかった。


家に帰ってからしんちゃんのメールを確認すると、

「明日暇あったら、会いたい。」

って入ってた。私は、

「大丈夫。」

と返信した。

翌日、しんちゃんが近所まで迎えに来てくれて、そのままホテルに連れて行かれた。いつもなら、買い物とか映画とかドライブとかしてからだから、ちょっと驚いた。

部屋に入るなり、

「今日は昨日の分も、覚悟してね。」

と言われた。私の心臓が、一気にバクンッとなったのは、言うまでも無い。

しんちゃんは、私の意志を確認しながらだけど、自分のやりたい事をする。だから、私は知らない世界をたくさん経験する事になった。この日もそうだった。

「今日はいつもより、感じてるね。」

しんちゃんにそう言われるくらい、私は昨日、物足りなくて仕方が無かったんだって、分かった。

今の私には、言葉や気持ちだけじゃ無くて、体も満たされないと、物足りないのだ。


相変わらず最低な私は、キーチとの穏やかなメールだけのやり取りを物足りなく感じていて、それをしんちゃんに埋めてもらうとゆー生活をしていた。

だけど、そんな生活にも変化が訪れた。

きっかけは、3連休にしんちゃんが地元の友達の結婚式で帰省するから遊べないってなった時に、カノに誘われた事だった。

「連休暇ならさー、ヨシくん達の学祭に一緒に行かない?」

「学祭?」

「そう。地域との交流も兼ねてるから、結構大掛かりで楽しいらしいよ。」

そー言えば、キーチもメールでそんな話をしてたなぁ。学祭とか懐かしいなぁ。違う大学のって行った事ないから気になるなぁ。と、まぁ、そんな訳で、私はカノと学祭に一緒に行く事にした。

「夜はどーするの?」

今回はカノにちゃんと確認した。

「ヨシくんち泊まっていいって言ってたけど、キーチに聞いてみたら?」

カノはニヤけながら言った。…いやぁ…それはちょっと私には無理。

「今回は夜も涼しいし、カノの車で寝ようかなぁ。どうせヨシくんとしたいんでしょ?」

「まーね。車はいいけど、キーチに聞けばいいのにー」

「打ち上げとかありそうだし、まだそんな関係じゃないから無理。」

私がそう言うと、カノは、ふーん。と言っただけだった。

「まさか、ヨシくんからキーチにって思って無いよね?」

私が聞くと、

「あー、そうする?そーしよっか?」

と、カノはニヤけながら言った。絶対そう思ってたじゃん。いや、危なかったー!

「キーチの気持ちが分からないから、私から行動したく無いのよ。だから、見守って欲しいな。」

私がそう言うと、カノはしばらく考えてから、

「分かったー」

と言って、なんだか嬉しそうだった。

私はその後、キーチに学祭に誘われた事だけは伝えようかと思ったけど、話題にならなかったから、結局伝えないまま当日を迎えた。

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