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つれづれ野花  作者: あぐりの
らすこい
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らすこい15

秋になる頃、私とハナエちゃんの生活に変化があった。

2人共仕事を辞めて、ハナエちゃんは就職前から勤めていたバイトに戻った。もともと、彼氏が店長をしているから誘われていて、復帰した形だった。バイトリーダーなのに社員の仕事も熟せるハナエちゃんが抜けたのは大きな痛手だったから、復帰をみんな喜んでくれたと言っていた。何より、ハナエちゃんが楽しそうなのが嬉しかった。

私はと言うと、大学でゲットした資格を活かした職の非常勤になり、夜は週4でバイトをした。会社勤務より収入が増えたしストレスは減ったし、さっさと辞めれば良かったと思った。

ただ、夜にバイトをするよーになってから、しんちゃんと時間が合いにくくなって、平日に会う事が減った。まぁ、今までが会い過ぎてた気もするけど。


そんな中変わらないのが、キーチとのメールだった。

ずっと他愛も無いメールなんだけど、何が起きる事もなく穏やかに続いていた。

「え?メールだけ?」

「そう。電話もー…キーチの誕生日の時しか無いかも。」

「中学生なの?2人は。」

「あはは!確かに!」

私達はそんな関係だった。カノもハナエちゃんも、

「私ならもっと進展したいけどなー」

と言ったけど、私はキーチとのこの関係を気に入っていた。

「おはよう。」しか来ない日があったり、「今何してる?」「漫画読んでた。」「へー」って続かないメールだったり。基本的にはお互いの返信にタイムラグがあり過ぎて、会話になりにくいのだ。だけど、週3くらいはメールをするってゆー、ゆる〜い関係だった。

そんな私達の関係にも、ついに進展があった。

バイトの帰り道に、遠くに花火が見えたのを、私がキーチにメールした。

「今年最後の花火かな。」

「まだあるよ。」

「そーなんだ。」

「行く?」

珍しく続いたメールで、花火に行く事になった。けど、前日まで全然話が出なくて、どーしようかと思った。

「明日迎えに行くよ。」

前日の夜にメールが来て、ホッとした。でも、花火の場所がちょうど中間地点だったから、

「どっかで待ち合わせようよ。」

と提案した。すると、

「駐車場があまり無いみたいだから、一台の方が良さそう。」

と返信が来た。いろいろ調べてくれたのかな。そう思って、甘える事にした。


人が多いって言ってたから、浴衣はやめる事にした。実はしんちゃん達と夏の初めに行った時は浴衣だった。ハナエちゃんが浴衣にこだわったからなんだけど、その時しんちゃんにされた数々の行為が思い出されて着れなかったとゆーのが、本当の理由だった。

もう一つ、理由があった。

それは、浴衣着て行くと、なんてゆーか、気合い入れてます!って感じがするから。たまたま誘ってくれただけかも知れないのに、って考えたら、着れなかった。キーチがどんな気持ちで誘ってくれたのか、分からないんだもん。無難で動きやすい洋服に、今回はした。

「人、凄いね。」

浴衣にしなくて良かった。

「花火、あっちで見えるらしいんだけど、どうする?」

「…どうする、とは⁇」

「あー、いや、人凄いから、もう移動する?って意味。」

なるほど。やっぱりいろいろ調べてくれてたんだなぁ。優しいなぁ。

「うん。移動する。」

「じゃあ、こっち。」

キーチは時々私を気にしながら歩いてくれた。手を繋いで歩けば良いんだろーけど…私からは難しい…だって、恥ずかしいし。出来ればキーチからして欲しい。って意外と私、乙女なんです。


結局手を繋ぐ事なく人混みを抜けて、花火ポイントに来た。

「わぁ。見晴らしいいね。あ、あそこから上げるのかぁ。」

ちょっとテンションが上がる見晴らしの良さだった。

花火が上がるまで、屋台で買ったたこ焼きとかを食べながらまったりと話して過ごした。

花火が上がってからも、まったりと見ていた。

なんだろ、こーゆー緩い感じ、嫌いじゃない。

しんちゃんとだったら、まったりなんて見てられない。絶対何かしら悪戯してくるんだもん。

キーチは本当に何もしてこない。ちょっと寂しくなるくらい。2人で来てるけど、これはデートでは無いのかな…私は、デートのつもりだったんだけどな。



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