らすこい14
ハナエちゃんとこのキスをするのは、あの時の王様ゲームの時以来、2回目だ。あの時もかなり酔っ払ってた。あーやっぱり、ハナエちゃん、うま過ぎる…キスが気持ち良過ぎて、訳分からなくなる…
「あー…さわのこの顔、たまらないんだよね〜」
ハナエちゃんはそう言うと、私の顔を優しく撫でて、また、とろっとろなキスをした。
しばらくしてから、ハナエちゃんは満足気な顔をして起き上がり、私を見下ろして、
「さわはさ〜いろいろゆーけどさ〜体はしたくて疼いてるんだから〜ねー?」
と言って、私のほっぺをペチペチっと叩いた。
「おー、ハナエちゃんすげーな。」
シャワーから出て来たしんちゃんが私達を見て言った。
「そんな顔されてたら、妬いちゃうなぁ。」
そう言ってしんちゃんは私を起き上がらせた。ダメだ…力が入んない。
「しんちゃん、私の勝ちねー。」
「あー、仕方ない。」
しんちゃんは私を抱き抱えながら、顔を見て言った。
2人の会話をぼんやり聞いていたけど…ん?勝ちって?どーゆーこと?
「どっちがさわをその気にさせるかって話ー。私が勝ったから、2人がしてるとこ、見せてもらうのー!」
「えっ⁈」
私は一気に正気に戻った。ハナエちゃんは楽しそうに小躍りしていた。私がしんちゃんを見ると、
「さわちゃんが俺を拒否するからだよー?」
と言われた…え〜⁇私のせい⁈ってゆーか、そんな話知らないし!
私の戸惑いは相変わらず全く気にされず、そして相変わらず意思の無い私は、酔っ払い達に流されていった。
しんちゃんは私の手を引いて布団まで連れて行った。そして、
「さわちゃんは、したい?したくない?」
と聞いた。心臓が、ドクンッとした。こーゆー聞き方は、狡い。久しぶりだから忘れてたけど、しんちゃんはSだった。言葉責めとか、好きなんだった。
ハナエちゃんに一度とろっとろなキスをされてた私は、正気に戻ったとは言え、一度熱くなった体は、直ぐには収まらない。
ハナエちゃんの言う通りだ。しんちゃんを拒んだものの、本当は電話をくれた時から体は準備を始めていた。
「…したい。」
私がそう言うと、しんちゃんは嬉しそうに、
「じゃあ、キスして。ハナエちゃんみたいな濃厚なやつ。」
と言った。
それ以来、私としんちゃんの関係はまた週に何回か会うパターンに戻った。私がフリーになったからと言って、何も変わらない。好きは言うけど、付き合うって話は出ない。
なんとなくだけど、しんちゃん、会社に本命がいる気がする。会話から、なんとなくだけど。前に一度、
「その子が好きなの?」
と聞いた事があった。その時しんちゃんは驚いた後、意味深に笑った。それ以上は聞かなかったけど、否定しないって事は、当たりかな。と思った。
その時はまだセーくんと別れて無かったから、しんちゃんに本命がいても気にしないってゆーか、気にはなるけど誰なのか興味があるって感じだった。
別れてフリーになったけど、今はどうなんだろう。私はしんちゃんとどーしたいんだろ?
会社終わりに待ち合わせて会ったり、週末出掛けたり。手も繋ぐしキスもするし、もちろんそれ以上もするし。
会話は、会社の愚痴とか日常の話とか、昔の話とか。
「今度あそこ行こうよ。」
って話はするけど、将来こーしたいとかって話はしない。
でも、嫉妬?はされた。嫉妬、なのかな?
ヨシくん達と合コンした事を知ったしんちゃんに、
「誰かと俺みたいな関係になった?」
って聞かれた。
「なってないよ。」
私がそう答えると、しんちゃんは、
「ふーん。」
とだけ言って黙った。沈黙が普段から無い訳じゃ無いけど、この時はちょっと気まずい空気な気がした。
後日、
「しんちゃんに怒られた〜」
と、カノから電話があった。私はカノから合コン話を聞いたんだと思っていたけど、違ったらしい。ヨシくんと仲の良い後輩がしんちゃんの友達らしく、そこから伝わったみたいだった。
「さわちゃんの様子をめっちゃ聞かれたから、好きなの?って聞いてみた。」
「え?しんちゃんに?」
「そう。スルーされたけど。」
カノはそう言って、
「さわちゃん的にはどーなの?」
と聞かれた。その時はセーくんと別れて無いから。って答えたけど、今はどーなんだろ。
しんちゃんとどーしたいか良く分からないけど、今の関係は、無くしたくないなぁ。