らすこい13
ハナエちゃんが良い感じに酔っ払って来た頃、電話がかかってきた。
「あ、しんちゃんだ。」
しんちゃんとは夏休みがお互いずれていたのと、しんちゃんの出張とかで3週間振り?だった。正直、このままフェードアウトするかもなーって思ってたから、久しぶりの電話に、ドキドキした。
「久しぶり〜」
私が電話に出ると、
「久しぶりだねー今時間いい?」
と、久しぶりのしんちゃんの声に嬉しくなった。
「今何してんの?」
「今?ハナエちゃんちにいるー」
私がそう答えると、隣に居たハナエちゃんが、
「しんちゃんも来るー?」
と言った。酔っ払いだなぁ。
「え?いーなら行くけど。」
思いの外、しんちゃんから乗り気の返事が返ってきた。ちょっと驚いた。しんちゃん、前にミツくんと4人の時以来、こーゆー誘いには乗ってこなかったからだ。
「今ちょうどN駅にいるんだよねーこっから近い?」
駅に居たから後ろが騒がしかったのか。なるほど。私は電車には詳しく無いからハナエちゃんに託した。
「10分くらいで来そうだよ。」
私達は買い出しがてら迎えに行く事にした。
しんちゃんは出張帰りで、スーツだった。初めて見るスーツ姿にちょっとドキドキしてしまった。
ハナエちゃんちで、彼氏の服を借りて寛いだしんちゃんは、
「2人は本当に良く一緒にいるんだねー」
と言った。
「そーでも無いよね?ハナエちゃんとも久しぶりな気がする。」
私がそう言うと、
「うん。今日はね、さわが彼氏と別れたから慰めてあげようと思ってね。」
とハナエちゃんが言った。
「ハナエちゃん‼︎」
びっくりした。言うかー?って、ハナエちゃんなら言うかぁ。カノも言うね。いや、別に秘密にする話でも無いけどさぁ。
「さわちゃん別れたんだ?」
しんちゃんは、なんとなく、嬉しそうだった。
「だからしんちゃん遊んであげて〜」
ハナエちゃんがそう言うと、
「今までと変わらない気がするけどね。」
と、しんちゃんは笑って、私を見た。…まぁ、確かに。居たからって遠慮されてた気もしないし。
しんちゃんのお酒も進んで、ハナエちゃんも完全な酔っ払いになって来たので、私は1人寝る準備を進め始めた。シャワーも勝手に浴びちゃうし、布団も勝手に引っ張り出して敷いちゃう。勝手知ったる我が家なのだ。
準備を終えて2人の元に戻ると、雑誌を見ながら楽しそうに話していた。
「仲良しだね〜」
私がそう言うと、ハナエちゃんが、
「妬いちゃった?」
と笑って言った。ハナエちゃん、完全に酔っ払ってるなー。
「寝ちゃいそうだから、シャワー浴びちゃいなよ〜」
私がハナエちゃんを引っ張りながら言うと、しぶしぶ立って、
「さわも入ろ。」
と言って抱きついて来た。わぁ〜めんどくさいヤツ〜。
「はいはい。」
私はそう言ってお風呂まで連れて行った。ハナエちゃんは2人で居る時は、だいたいこんな感じになってしまうから、私は慣れたものだった。
「ハナエちゃん大丈夫なのー?」
戻って来た私にしんちゃんが聞いた。話し方から、しんちゃんも酔ってるなぁ。
「シャワー浴びたら、ちょっと戻るから大丈夫。」
私はそう言いながら片付けを始めた。その様子を見ていたしんちゃんが、
「なんか〜いつもの2人と逆だね〜」
と言った。そうかも。ハナエちゃんはしっかりしてるからね。外で飲む時は考えて飲んでるし。
「酔ったハナエちゃん、可愛いでしょ?」
私がそう言うと、しんちゃんは私を抱き寄せて、
「さわちゃんも可愛いよ。」
と言ってキスをした。私は慌てて、キスを止めた。このままディープキスに移ったらダメだ。
「待って待って!後でね。」
「え〜⁈ずっと我慢してるのにー」
しんちゃんはそう言って口を尖らせて拗ねた。なんか、可愛いな。ってダメダメ。今はまだ、そんな気分になったらダメな気がする。
ハナエちゃんが出て来て、気持ち復活して、しんちゃんがシャワーを浴びに行った。ハナエちゃんに、
「しんちゃんとしてるかと思ったのにー」
と言われた。
「いや〜今はまだ、ダメな気がするんだよね。」
私がそう言うと、
「出た!謎な真面目!」
とハナエちゃんは言った。そして、私をジーッと見てから、
「じゃあ、私なら良いよね?」
と言って、私を押し倒し、キスをした。そして直ぐに、ディープキスになった。