らすこい11
私に断る術があまり無いのと、やっぱり、今から1人で漫画喫茶に行く事を考えると辛過ぎて、キーチに甘える事にした。
何もしないって言ってくれたし。って、正直なところ何かあっても構わないんだけど。ってゆー、本当に私最低だわ。いや、本当に…ダメだなぁ…
シャワーから上がると、キーチはベッドにもたれて寝てしまっていた。どうしよう。ベッドで寝て欲しいけど、絶対運べない。ってゆーか、私に運べる人なんて子供くらい。無理無理。
「キーチ、キーチ。」
私は肩を軽く叩きながら声を掛けてみた。しばらく頑張ると、
「…ん…」
と、反応があった。
「キーチキーチ、ベッドで寝て〜」
「ん…」
反応はあるけど、寝ボケてるなぁ。持ち上げてみる?いや、絶対無理。
「キーチ。」
今度はほっぺをペチペチ叩いてみた。
「ん〜…」
今までで一番の反応だった。私はほっぺをまたペチペチ叩いた。
「キーチキーチ、ベッドで寝よう〜」
私がペチペチ叩きながら声を掛けていると、
「んー」
と反応があってから、ペチペチ叩いていた手を掴まれた。うっすら開いた目と、なんとなーく目が合うと、
「…あー」
とキーチは言って、私をグッと抱き寄せた。
「キーチ?」
私は焦った。これは…ヤバいよね?寝ボケてるとは言え力的に逃げれる気がしない。
「ん〜ちっちゃ。」
キーチは私を抱きしめたまま言った。
「キーチ起きた?ちゃんとベッドで寝て〜」
私は体に力を入れてなんとか離れようとした。だけどやっぱり、力差があり過ぎる。
キーチは、
「んー…一緒に寝よ。」
と言った。抵抗しようにもホールドされてるから諦めた。
「分かった分かった。寝るから、ベッドあがろ?」
私がそう言うと、キーチは解放してくれた。そしてベッドに上がると、奥の方にゴロンとなった。そして、隣をポンポンと叩いた。
隣に来いって事だよね。シングルベッドにスポーツマン体型の男の人と2人かぁ…どうしたってくっ付いちゃうよね。
私は電気を消して、ベッドの縁に座った。
何が正解か分からない。けど、キーチの女性不信払拭の為には、私は清廉潔白でいなければいけない気がする。
キーチが何もしなければ、大丈夫。私からすることは無い。そんな勇気も技術もないから。でも、何かあったら、確実に流されると思う。もう、キーチの言葉を信じるしかない。
私は空いてるスペースに、キーチに背中を向ける形でゴロンと横になった。
「落ちちゃうよー」
キーチはそう言って、私のお腹に手を回して抱き寄せた。お腹ー!恥ずかしい〜!ってゆーか、ドキドキヤバい‼︎
「さわちゃんって、カノちゃん達とタイプ違うよね。」
キーチは私を抱き寄せたまま言った。タイプってゆーか、経験値な気がしなくも無いけど。なんて言えない言えない。
「そうかな?」
私は肯定も否定もしない返事を選んだ。これなら嘘にはならないもんね。
「2人みたいだったら…俺我慢してなかったかも。」
びっくりした。爆弾発言ですけど!
「もし…2人のどっちかだったら、我慢して無いって事?」
「ん〜さわちゃんが2人みたいだったらって話。」
あーなるほど。いやー、2人と変わらないんだけどね…言わないけど。
「もしそうだったら、元カノと同じになってたね、キーチ。」
私がそう言うと、
「だよね。」
と言って、ふーーっと溜め息をついて、
「おやすみ。」
と言った。
「やっぱりさわちゃんに任せて正解だったね!」
「本当!さわしか無理だわ〜」
次の日の帰り道は報告会だった。
「いやいや、2人とも自由過ぎでしょー!」
2人のどちらかがいてくれたら、こんなに気を使わなくて済んだのに。
「ごめんね。」
2人は反省の色無く謝った。まぁ、いーんだけどね。2人は満喫したみたいだし?
正直、疲れたけど、悪い夜では無かった。最近恋愛に関して流されることが普通になってた。けど、キーチと話して、ちゃんとしないとなぁ…ってちょっと思った。
セーくんとの事、しんちゃんとの事、どうするのかちゃんと考えよう。